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米経済

どこまで上がる?アメリカの貯蓄率

2009年9月15日(火)13時13分

 アメリカ人は現在、収入の5%を貯蓄に回しているが、これは過去10年間の最高値となっている。この倹約傾向は一時的なものなのか、それとも長期的変化の兆候なのか。専門家2人に聞いた。

■バリー・リソルツ(調査会社フュージョンIQのCEO) 
一時的なものだ。今後は約3%に落ち着いていくと思う。貯蓄動向のカギを握っているのは、不動産でも株式市場でもない。雇用だ。2年後に失業率がまだ9~10%をさまよっているなら、貯蓄率は3%を超えるだろう。しかし雇用状況が改善すれば、1~2%に戻っているだろう。

■マーク・ザンディ(調査会社ムーディーズ・エコノミー・ドットコムのチーフエコノミスト) 
長期的変化だ。貯蓄率は80年代初期と同じ9%、もしくは10%に向かっている。私は、貯蓄に対するアメリカ人の考え方は完全に様変わりしていると考える。高齢化しつつあるアメリカ社会で、最も多い年齢層は50代。引退が近づくにつれて、彼らはさらに貯蓄に走る。その結果、アメリカ全体の貯蓄率が上がるだろう。

■本誌の結論 
20年間にわたって下がり続け、わずか1年半前には0%近くになった貯蓄率が、2桁台まで戻っていくことは想像しにくい。失業率が10%前後に落ち着くようであれば、貯蓄率は4~5%を推移するだろう。

[2009年9月16日号掲載]

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