最新記事

アメリカ経済

住宅市場テコ入れにブルドーザー作戦

市況の重石になっている空き家をぶち壊せば需給は回復する?

2009年8月19日(水)14時58分
モハメド・ヘルザラ

 アメリカの住宅市場にわずかに光が差し始めた。6月の中古住宅販売件数は前月比3・6%増。価格も下げ止まってきており、バーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長やアナリストが景気の底入れは近いと判断するのも当然だろう。

 とはいえ、こうした改善は一時的なもので、不安材料はまだ残っているとの意見もある。債務不履行率や失業率、各種の前年比データといった経済の重要指標に今も暗雲が立ち込めているからだ。

 なかでも需給バランスが回復していない。中古住宅の在庫を見ると、05年6月には販売実績の4・4カ月分だったのに対し、09年6月は9・4カ月分だった。市場の本当の回復には大胆な対策が必要と考えるエコノミストが増えているのはこうした理由からだ。

 需給バランスを回復させるために、住宅市場の落ち込みが激しい地域で売れ残った空き家を大量に取り壊す「ブルドーザー」的手法を取るべきだと考える人もいる(09年第2四半期におけるアメリカの空き家の数は1870万軒)。

 ミシガン州フリントでは既に1000軒以上の住宅が取り壊され、さらに3000軒の解体が計画されている。カリフォルニア州では一部の銀行が差し押さえ物件の住宅の取り壊しを始めた。

 だが壊す以外にも手はある。不動産業者のリチャード・レフラックとエコノミストのゲーリー・シリングは移民法を緩和し、現金で住宅を購入できる専門職の外国人を呼び込もうと提案している。

[2009年8月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米中貿易巡る懸念が緩和

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、米中貿易戦争巡る懸念和らぐ

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、米中貿易戦争巡る懸念和らぐ

ビジネス

米労働市場にリスク、一段の利下げ正当化=フィラデル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中