最新記事

グーグルも無人機買収に参戦

ドローンの世紀

無差別攻撃から災害救助まで急速に進化する無人機は善か悪か

2014.04.15

ニューストピックス

グーグルも無人機買収に参戦

軍事ロボット買収に続く無人機買収。グーグルの狙いは

2014年4月15日(火)17時42分
リリー・ヘイ・ニューマン

まるで衛星 世界のどこからでもネット接続ができるようになる? Courtesy Titan Aerospace

 グーグルの「買い物熱」はまだ冷めないようだ。昨年から軍事ロボット開発企業の米ボストン・ダイナミクスや、家庭用センサーを手掛ける米ネスト・ラボなどの買収を次々に発表。そして今週、無人航空機メーカーのタイタン・エアロスペース(ニューメキシコ州)を買収したことを、ウォールストリート・ジャーナルが報じた。買収金額は明らかになっていない。

 タイタンの従業員は約20人。CEOのバーン・ラバーンは、かつてウイルス対策ソフト大手のシマンテックやマイクロソフトで働いていた。タイタンが開発している無人機は、太陽電池を使って発電しながら飛行する。高度約2万メートルを5年間飛び続けることができるという。

 グーグルは現在、世界のどこからでもインターネット接続ができるようにする計画「プロジェクト・ルーン」を進めており、タイタンはこれに協力することになる。タイタンの無人機は地上を撮影した高画質画像をリアルタイムで収集できるので、これをグーグル・マップに応用する可能性もある。

フェイスブックやアマゾンも

  「まだ初期段階だが、大気圏の衛星は多くの人々のインターネット接続を可能にする。さらに災害救援や、森林伐採といった環境破壊などの問題解決も手助けするだろう」と、グーグルの広報担当者は声明で述べた。

 先月にはフェイスブックが、無人機開発企業の英アセンタを2000万ドルで買収すると発表した。フェイスブックは昨年夏、インターネットにアクセスできない50億の人々に接続環境を提供するための団体を設立しており、アセンタの無人機はその取り組みに利用される。フェイスブックは3月初め、タイタンの買収を検討していると報じられていた。

 フェイスブックと買収合戦を繰り広げるグーグルにとって、タイタン買収はプラスに働く。いずれにしても、それはグーグルのさまざまな事業計画の方向性と連動しているようだ。例えば、無人機はデータ収集のためのセンサーを搭載することができる。アマゾンが無人機を使った配達サービスを検討している今、グーグルが無人機をほしがってもおかしくはない。

 タイタン・エアロスペースは、無人機の商用利用の開始を15年としている。ただし無人機によってグーグルのサービスが大きく変わり始めるのは、それから数年後と考えられる。

 地上では何も変わりなく思える一方で、グーグル・ブランドの無人機が空を飛びデータを集めて回る。そのことは覚えておいたほうがいい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米サステナブルファンド、1─3月は過去最大の資金流

ビジネス

北京市、国産AIチップ購入を支援へ 27年までに完

ビジネス

デンソー、今期営業利益予想は87%増 合理化など寄

ビジネス

S&P、ボーイングの格付け見通し引き下げ ジャンク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中