最新記事

フェースブックvsグーグルの勝者は?

フェースブック
過去か未来か

打倒グーグルの最有力候補は
会員5億人の「お友達帝国」

2010.12.27

ニューストピックス

フェースブックvsグーグルの勝者は?

ユーザーのデータは自社のもの、と他サービスへの引越しを許さないフェースブックにグーグルが激怒

2010年12月27日(月)15時36分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

 インターネット上のサービスを利用する際、自分が登録したデータはすべて、自分のものだとユーザーは考えてきた。

 いい例が電子メールの無料サービス。一度あるサービスに連絡先情報を登録すれば、ほかのサービスに移る際、データを移すことが可能だ。

 これは電子メールサービスを提供する側には喜ばしいことではないが、ユーザーにとってはありがたい。簡単に「引っ越し」が可能であれば、サービス提供者は機能を改善し続ける必要がある。その努力を怠れば、より便利な電子メールサービスにユーザーを奪われることになるからだ。

 だがSNSのフェースブックに言わせれば、データの所有者はユーザーではなくフェースブック。同社は最近まで、連絡先はもちろん、写真やメッセージ、自分のプロフィールなどのデータの引っ越しを認めていなかった。

 フェースブックは10月にほとんどのデータを移動できるように方針を変更したが、緩和措置の対象にならなかったものがある。連絡先に登録されている電子メールアドレスだ。友人のアドレスはユーザーではなく、友人のものだから、というのがフェースブックの主張だ。

 ばかげた言い分だ。フェースブックの狙いはユーザーの流出を防ぐことだろう。

 アドレスの引っ越しを許さないフェースブックに怒ったのがグーグル。グーグルのGメール利用者は連絡先データをフェースブックに移せるのに、フェースブックからGメールへのデータ移動ができないことに、グーグルは憤慨した。

 グーグルは、データを外部に移せないサービスへの情報の移動を認めないと宣言。一方のフェースブックは、ユーザーが引き続きグーグルからデータを移せるように対抗措置を講じた。グーグルはこれに対して「残念だ」とコメント。フェースブックにデータを移すと戻ってこれないと、ユーザーに呼び掛けるようになった。

 両者の不仲は誰が見ても明らかだ。グーグルはフェースブックを脅威に感じており、自前のSNSで対抗しようとしている。一方、5億人のユーザーを持つフェースブックは、大規模な利用者情報を元に広告関連収入で莫大な利益を得ようとしている。

 企業にとってユーザーのデータは「金のなる木」。縄張り争いが激化してもおかしくない。

[2010年12月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

WTO意思決定改革、来年3月閣僚会議での合意困難と

ワールド

トランプ氏、国民向け演説で実績強調 支持率低迷の中

ワールド

ブラジル前大統領の刑期短縮法案、上院も可決 ルラ氏

ワールド

米、新たな対ロ制裁準備 プーチン氏が和平合意拒否な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中