WTO意思決定改革、来年3月閣僚会議での合意困難と調整役
スイスのジュネーブにある世界貿易機関(WTO)本部。2022年10月撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)
Emma Farge Olivia Le Poidevin
[ジュネーブ 17日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)の意思決定プロセス改革について、加盟各国の協議は来年3月にカメルーンで開かれる閣僚会議での合意につながるほどには進展していない――。協議を主導するノルウェーのオルベルグ大使が非公開文書でこうした見解を示した。ロイターが12日付の同文書の内容を確認して分かった。
専門家からは、創設から30年が経過したWTOは組織として危機を迎え、早急な改革が必要だとの声が出ている。
WTOはロイターに、個々のメンバーの立場にコメントしないと述べた上で、オコンジョイウェアラ事務局長が英紙フィナンシャル・タイムズで語った発言を参照するよう求めた。同紙に対してオコンジョイウェアラ氏は、加盟国は現在の危機を改革とルールブック近代化の機会として利用すべきだと訴えた。
特に問題視されているのは、加盟国(現在166カ国)全ての合意による意思決定の原則で、大半の国が賛成する事案でも交渉が進まない事態につながっている。
こうした中でオルベルグ氏は、意思決定プロセスの改革を巡っては幅広い考え方が存在するため、来年3月の閣僚会議での決着は不可能だと文書に記した。
ただ協議は前進を続けており、閣僚会議は何か1つの枠組みに関する話し合いを先に進めることに同意するべきだとした。
米国は他の加盟国に宛てた文書で、WTOの全加盟国合意による意思決定が「プルリラテラル協定(小グループごとの取り決め)」の妨げになっている点や、最恵国待遇(MFN)制度が現実にそぐわなくなっていることなどに不満を表明している。
一方である外交筋は、米国の意見は他の加盟国からの幅広い支持を得ているわけではないと明らかにした。





