最新記事

小沢一郎(1942-)

インタビュー ザ・日本人

昭和天皇、渥美清、宮崎駿から
柳井正、小沢一郎、二宮和也まで

2010.01.21

ニューストピックス

小沢一郎(1942-)

「民主党が政権を取れば自民党は崩壊する」

2010年1月21日(木)12時03分

 自民党を飛び出し、非自民政権である細川政権を立ち上げてから10年。自由党の小沢一郎党首が、今度は民主党との合併に踏み切った。政権奪取をめざす小沢に、本誌・竹田圭吾とデーナ・ルイスが聞いた。

----新党の政策は、小泉純一郎首相が掲げる政策とあまり変わらないようにみえる。

 それは事実に反する。小泉さんは改革と叫ぶだけで、自民党の権力体制を変えようという気はさらさらない。われわれは、政官業の癒着や護送船団行政に象徴される戦後体制を根本から変える具体策を示している。

----政権交代への手応えは。

 民主党との合併で可能性は高まった。キャーキャー言われるような人気ではないが、国民は期待感や安心感をもてる政党ができたと思っている。自民党は権力維持のためだけにまとまっている政党だから、民主党が政権を取れば崩壊する。

----マニフェスト(政権公約)という言葉が盛んに使われるようになったが。

 そんな意味不明の言葉を使うより、わかりやすい公約を何点か掲げればいい。それを2年でやります、やれなかったら辞めますと言うべきだと菅(直人・民主党代表)さんに言っている。

----菅代表の反応は。

 新党が発足する10月5日の党大会を見てほしい。

----小泉首相の言葉は論理的でなく情緒的だと批判している。

 小泉さんだけでなくて、それは日本人全体の特徴であり文化だ。日本は歴史的に豊かで平和な国で、リーダーを必要としなかった。何事も全会一致で、意見が対立したときは解決を先送りする。しかし、時代が変わっているのに同じやり方を通そうとするから何も進まない。

----今はリーダーが必要か。

 そのとおりだ。国としてこれからどうするかを決めなくてはならないのだから。

----菅代表なら新しいリーダーにふさわしいということか。

 そういう個人の話ではない。既存の権力構造に立脚した政権ではだめだと言っている。

----首相は別の人でもいい?

 政権交代することが重要なのだ。利権をもたない新党が政権を取れば、自由に改革ができる。

----8カ月で終わった細川政権のようになる可能性は。

 (8党派の連立だった細川政権と違い)1党で勝つのだから、そういうことにはならない。

----今度こそ変化が必要だということは有権者も理解していると思うか。

 理解している。終身雇用と年功序列という既得権が失われはじめたことで、サラリーマンが不安になっている。これまでは自民党ではダメだと言いつつ自民党に投票した。それが微妙な段階にきている。そこへ新党ができたので、こっちでもいいかなという雰囲気になってきた。

----ブッシュ政権には、小泉以外の政権になると日本が外交的に別の方向に進むのではないかという懸念もある。

 そんなことはない。

----核武装論の台頭など右傾化に拍車がかかるのでは。

 それは逆だ。今の政治がいいかげんだからネオナショナリズムが台頭してくる。自民党政権は、アフガニスタンやイラクに兵を出すのに憲法解釈さえ示さない。集団的自衛権を認めないのになぜ軍艦を出すのか。格好だけだから外国から軽蔑される。

 われわれの政権では、国際社会の合意があれば国連の一員として率先して戦う。その代わり、国連の同意を得ないアメリカの単独行動には参加しない。 

[2003年9月24日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル・イランの衝突激化、市民に死傷者 紛争拡

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中