最新記事

グリーンニューディールに期待し過ぎは禁物

温暖化「うま過ぎる話」

エコ助成,排出権,グリーンニューディール
環境問題はなぜ怪しい話や
誤解だらけなのか

2009.11.24

ニューストピックス

グリーンニューディールに期待し過ぎは禁物

オバマ政権の目玉「グリーンニューディール」の意外な悪影響

2009年11月24日(火)12時10分

 バラク・オバマ米大統領が提唱する政権の目玉政策「グリーンニューディール」に、世界中の関心が集まっている。オバマの打ち出したこの環境エネルギー対策は、2019年までの10年間で1500億ドルを費やし、環境に配慮した再生可能エネルギー、太陽電池、風力発電、バイオ燃料、水素エネルギー、低燃費車などに投資する内容。これによって500万人の雇用を生み出すという。

 「グリーンニューディール」という呼び名は、アメリカで29年に始まった大恐慌への対策として、フランクリン・ルーズベルト大統領が実施した経済社会政策「ニューディール政策」にちなんだ。フーバー・ダムやテネシー渓谷開発公社など大規模な公共事業で需要と雇用を創出した。

 グリーンニューディール政策はつまり、ルーズベルトの行った大規模な需要喚起・雇用創出策を、環境エネルギー関連産業の振興によって行おうというものらしい。財政出動で景気回復に寄与しながら、新産業の立ち上げで産業競争力を強化、環境対策にもなるという一石三鳥の策だ。

 例えば、環境技術への対応の遅れが経営危機に拍車を掛けているビッグスリーが必要とする強力な燃料電池の開発などに資金を出すこともできる。

 さらに中東の石油への過剰なエネルギー依存の転換にもなる。原油価格は、08年夏に史上最高値の150ドル近くまで上がったものの、現在は1バレル=50ドルほどで落ち着いている。だが、新興国経済の成長が回復して石油需要が増加するため、将来的に再び高騰するとみる識者は多い。

 一方でグリーンニューディールにも意外な悪影響があるのではと心配する声がある。エタノールなどのバイオ燃料を奨励する補助金が農家の食用作物からバイオ燃料用作物への転換を招き、結局、食料価格の高騰につながったように。

 グリーンニューディールの景気刺激策としての役割も疑問視されている。7870億ドルの景気対策法に盛り込まれたのは、自動車用バッテリー開発など新エネルギー技術支援費約300億ドルで、全体の4%未満にすぎない。景気対策の8割近くは減税と医療・学校などへの援助。それぞれ3000億ドルも割り当てられている。

[2009年4月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

クック米FRB理事、インフレ抑制の進展停滞に懸念表

ワールド

トランプ氏暗殺未遂の被告に終身刑、連邦地裁が判決

ビジネス

米クアルコム、1─3月期見通しが予想下回る メモリ

ビジネス

ルネサス、米サイタイムにタイミング事業売却 約47
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 9
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 10
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中