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ウクライナ戦争1年、西側メディアが伝えない「それでもロシアが戦争をやめない訳」
経済制裁を乗り切った自信
プーチンは2月2日、旧ソ連がナチス・ドイツに勝利したスターリングラード攻防戦の80周年式典で、「われわれは再びドイツのレオパルト戦車に脅かされている」と言った。
武器の製造能力という点でも、ロシアはウクライナと違い、外国に頼り切りではない。私が話したなかで、ロシアの敗北を想像できると答えたロシア人は1人もいなかった。
私は反戦派のロシア人からも、ロシア経済が制裁を乗り切ったことへの誇りに近い感情を強く感じた。彼らに言わせれば、ロシアの経済状況はドイツとほぼ同じで、将来の見通しはイギリスよりいい。22年は10%以上のマイナス成長という予測だったが、実際は3%弱のマイナスにとどまった。通貨ルーブルの価値も住宅市場や個人消費も、労働者の賃金も大きくは下落していない。
ロシアの大学で私の同僚だったグリゴリー・ユージン教授は最近、和平交渉に対する世論の支持の高まりと部分動員令の関連を指摘した。彼の見解によると、ロシア人は昨年秋に「日常生活の崩壊と危機感」を経験した。さらに、「勝利に対する信頼の喪失」と「具体的な勝利への道筋に関する説得力ある説明の欠如」も世論の変化につながったという。
だが、ロシア人の間で戦争の日常化が進み、悪夢のような経済破綻が回避された今、強く特別なロシア国家の存続はウクライナへの完全な勝利に懸かっているという考えが強まる可能性もある。ロシア兵の遺体を収容した大量のひつぎの帰国が続くことで、国民の戦争への支持はむしろ高まるかもしれない。
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