コラム

2020年の米大統領選を占えば

2019年01月12日(土)15時00分

現時点で20年大統領選を予測するのは不可能に近いが 3quarks/iStock.

<高い支持率を維持するトランプの再選が実現する? 無視できない波乱材料と侮れない「あの人」>

ワシントンで18年12月5日に行われたジョージ・ブッシュ元大統領の国葬の際、最前列で不機嫌そうに腕を組むドナルド・トランプ米大統領の姿は、その意味をめぐって数々の解釈を呼んだ。

故ブッシュは第二次大戦の英雄で、戦後は国連大使やCIA長官、副大統領、大統領としてアメリカを導いてきた。彼が大統領を退任してからわずか四半世紀後の今、同じ座にある人物が率いているのは、自由世界の秩序解体を目指す、怒れるポピュリストのムーブメントだ。

近現代のアメリカで最も物議を醸し、最も分断的な大統領であるトランプは歩くロールシャッハテストそのものでもある。

批判派に言わせれば、トランプは民主主義を攻撃し、国際レベルでアメリカを辱めた史上最悪の大統領だ。一方支持者は、米経済を力強く復活させ中国の貿易政策や欧州の防衛支出にノーを突き付け、テロ組織ISIS(自称イスラム国)を崩壊させてアメリカの権力を回復させていると称賛する。

もし今、トランプの再選を懸けた大統領選が行われたら、トランプ勝利はほぼ間違いない。支持率は現在、16年大統領選当日と比べて約5ポイント上昇。一本化を図れるだけの強力な候補者がいない民主党に対して、共和党内ではトランプの支持率が90%に達している。

20年大統領選の民主党予備選をにらんだ支持率調査では、ジョー・バイデン前副大統領がトップを走っている。先日、自分は「大統領として最も適任だ」とトランプ的に大言壮語したこともあって出馬の可能性が濃厚だが、最大20人の立候補が予想される予備選は熾烈な戦いになる。出馬した揚げ句に負けて、自らのレガシーを台無しにする。バイデンはそんな形で政治家人生を終えたいだろうか。

3つの利点と不吉な前兆

トランプ再選の最も有利な材料は、第二次大戦後のアメリカで再選されなかった大統領はジミー・カーターと父ブッシュの2人だけ、という事実だ。直近の大統領は3人続けて2期連続で任期を務めているし、1期目半ばに入ったトランプの支持率は同時期のビル・クリントン、バラク・オバマとほぼ同じだ。

もう1つは、民主党候補になりそうな面々の多くがかなりの高齢者であること。21年1月の大統領就任式時点でジョン・ケリー元国務長官は77歳、バーニー・サンダース上院議員は79歳、バイデンは78歳になる。

最後に、大統領選ではフロリダ州を制することが勝利の絶対条件に等しい。そして18年の同州知事選では大接戦の末、トランプが推した共和党候補が民主党候補を下した。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、原油高は米の利益 イラン核保有阻止が最

ワールド

イラン新指導者が初声明、国民の結束呼びかけ 米軍基

ビジネス

米新規失業保険申請、1000件減の21.3万件 雇

ワールド

インド船籍タンカーのホルムズ海峡通過許可へ、イラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 7
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 9
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story