コラム

ハリウッド映画的な女性キャラクターを作る、男性と勘違いされる女性写真家

2019年08月22日(木)12時00分

被写体のモデルたちは、パリやサンフランシスコ、ニョーヨーク、それにレバノン、モロッコなど世界各地で撮影されている。エスコバルのプロジェクト、あるいはキャラクター・セッティングに合わせて、現地のモデルエージェンシーを使ったり、ストリートで見つけてきたりするという。

さて、作品の色使いについてだ。色そのものが非常にポップで、パンチが効いているが、色使いにはおそらく作品の奥底に流れる秘密が隠されている。テクニック的な秘密ではない。ある種、ルーツにまつわる秘密だ。

彼女の母親はアルジェリア系のフランス人だ。彼女の作品に流れる、より赤に近いピンクがかったポップな色合いは、アルジェリア、モロッコ、リビアなどのマグレブ地方(地中海南岸の北アフリカ諸国)の太陽が作り出す情熱的で焼け尽くすような感覚との類似性が確実に存在しているのである。

実のところ、エスコバルにとって作品は、単なる写真ではなく、自分探しでもある。父親はスペイン人、母親はアルジェリア人の血を引くが、母方はアルジェリアではマイノリティーにあたるカビール(北アルジェリアのベルベル人)だ。

また、エスコバル自身が育ったパリ郊外は、日本で知られる「おフランス的な」パリではなく、90年代から移民やマイノリティーの問題が語られてきた地域――彼女の言葉を借りれば「複雑すぎる」環境が存在する場所――なのである。

そうしたルーツと環境で育ったがゆえに、作品を通して自らのアイデンティティーを探しているのだと、彼女は答えてくれた。だからこそ、通常のファッション写真にはない幾層ものレイヤーを感じるのかもしれない。

今回紹介したInstagramフォトグラファー:
Lou Escobar @lou__escobar

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※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。

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プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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