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「体験格差」という言葉に覚える強烈な違和感
もちろん、現在の世相では、だからこそ「何も取り柄のない、知的なるものに縁のなかった」階層が「自分たちにも名誉と居場所を得る権利がある」という主張を始めています。そして自分たちの名誉のためには、エリート層の持つ知性を重視するカルチャーを破壊することも厭わないという混乱が続いているわけです。
これは確かに大きな反動です。とりわけバラク・オバマという、ケニア人の実父とインドネシア人の継父を持ち、経済的には豊かではないがバスケットボールと法学という知性によって、アメリカンドリームの階段を駆け登ったまぶしいまでの成功例に対する、負け組の側の破壊衝動の発露とも言えるでしょう。
困窮層の中からも貪欲に才能を発掘するような、究極の能力主義を進めた結果が、グローバル経済を勝ち抜くことになり、けれども同時に明確な敗者を生んでしまい、そのリベンジ破壊の衝動が政治的なエネルギーになっているとも言えます。
では、日本の場合は、本当の能力主義を徹底し、また困窮層の中から問題提起型の人材を発掘すれば、アメリカのように敗者の逆襲を招くから、現状のままで良いのかというと、全くそうではありません。バブル崩壊から35年、全く成長ができずに衰退の続く経済と社会を好転させるには、まずは本当に戦力になる人材、必要な改革を進め問題を解決する人材を発掘することから始めなくてはなりません。
その意味で、体験を評価する総合選抜型の入試で「体験格差」が問題になるというのは、根本的な誤りであり、教育界全体として猛省が必要であると思います。まずは、「いわゆる『体験』」ができない環境に育った体験」を本当の体験として評価することから始めるべきです。
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