コラム

野党の「桜を見る会」追及にはなぜ迫力がないのか

2019年11月19日(火)18時00分

(5)後期高齢者の医療費自己負担比率を2割にアップする案があるが、アップするとして国民を説得できるか? またアップしない場合の財源はどうやりくりするのか?

(6)福島のトリチウム等含有汚染水の処理について、海洋放出で国内外を説得できるのか? できない場合に、県外移設の約束をどうやって実現するのか?

(7)度重なる台風・豪雨災害により、72時間前の避難開始、計画運休告知といった前倒し措置を行わなければ人命を守ることができない現状となっている。これをどう実施に移すのか?

(8)大学入試制度をめぐる議論で、大都市と地方の教育格差が浮かび上がったが、格差に配慮するのだけではなく、格差をどう是正するのか? また地方にいる有為な人材をどう発掘して育成するのか?

まだまだあると思いますが、とりあえず思いつくままに挙げてみました。政策に左派のポピュリズムが残っていても、あるいは右派のポピュリズムが入っていても、多少であれば、それは仕方がないと思います。ですが、少なくとも実行可能であり効果が期待できる政策を、例えばこうした8つの喫緊の課題について示すことができれば、野党ももう少し迫力を出すことができるわけで、その努力を求めたいと思います。

そうではなくて、桜問題ばかりを吠え立てていては、自分たちの無能をアピールしているようなもので、仮に解散となってもその後の期待はできないでしょう。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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