- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 「ぶどう1粒で逮捕」のニュースは、もっと背景の報道…
「ぶどう1粒で逮捕」のニュースは、もっと背景の報道を
2点目は、今回逮捕された男性が73歳という高齢であったということです。ということは、認知症の初期症状であるとか、高齢を理由とした「うつ」の症状として、こうした行動に及んだ可能性が否定できません。であるならば、懲罰的な逮捕報道を繰り返しても、この種の事件の抑止にはならないことが懸念されます。
こうした事件では、明らかに小売店は損害を受けますから、野放しにはできません。であるならば、具体的な対策は待った無しの問題だと思います。加齢を原因とした、認知症やうつの症状については、保護と治療を通じた症状の緩和ということが社会的な取り組みとして求められており、ある意味で状況は待った無しだと思われます。
外国人観光客や移民に対して、日本の社会慣行について丁寧に説明する必要があるという問題、そして、加齢に伴う逸脱行動をどう緩和して行くかという問題、たとえ「ぶどう1粒」でも、その意味するところは深刻です。「逮捕」という判断が正しいのか、また起きたことだけを「全国ニュース」で流すだけでいいのか、真剣に考えてみる必要を感じます。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
「体験格差」という言葉に覚える強烈な違和感 2025.08.27
日本の核武装コストは、どのように計算すれば良いのか 2025.08.20
被爆80年の今、真剣に議論しなければならないこと 2025.08.06
戦後80年に必要な3つのメッセージを考える 2025.07.30
参院選が引き起こした3つの重たい事実 2025.07.23
さらに複雑化したニューヨーク市長選の対立構図 2025.07.16
アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないのか? 2025.07.09