コラム

ボーイスカウト大会でオバマを非難したトランプに批判が殺到

2017年08月03日(木)16時40分

24日のジャンボリーでのトランプの演説には批判が殺到した Carlos Barria-REUTERS

<政治的な発言はしないという不文律に反して、ボーイスカウトの全国大会でオバマを非難したトランプに批判が殺到。トランプの言動の粗さがますます目立ってきている>

トランプ大統領は、7月24日にウェストバージニア州で行われたボーイスカウト の「ジャンボリー(キャンプ大会)」に出席してスピーチしました。ところが、その内容について直後から批判が殺到した結果、27日にはボーイスカウトの代表(マイケル・サバー、チーフ・スカウト・エグゼクティブ)が謝罪に追い込まれています。

この演説、まずは「フェイク(ニュース)メディアの連中は、どうせボーイスカウト大会での演説と言っても少人数だと報じるに決まっている」と、いきなりメディア罵倒から入りました。実際は参加者4万人という大規模な集会だったので、その規模の大きさを喜ぶ気持ちが屈折して出たようでした。

さらに、昨年の大統領選に触れて「我々はフロリダで勝ち、サウスカロライナでも、ノースカロライナでも、そしてペンシルベニアでも勝った。ついでにミシガンでも勝ったが、それはヒラリーがロクな運動をしなかったからだ」と、あらためてヒラリー・クリントン氏をこき下ろしました。

【参考記事】「カオス状態」のホワイトハウス、スカラムッチ広報部長は10日でクビ

極めつけは、オバマ前大統領に対して「ボーイスカウトの大会には一度も来なかった」と非難した部分です。また、「オバマケア(オバマの導入した医療保険改革)」の撤回に失敗したら「保健福祉長官はクビだ」などという、一方的な発言もありました。

現場で収録された音声によれば拍手もあったようですが、壇上の幹部は困惑したような顔をしていましたし、同席していたリック・ペリー(エネルギー長官)は、笑っていたものの、顔が引きつっていました。

何が問題かというと、2つ指摘ができます。1つは、確かに過去にも大統領がこのボーイスカウト・ジャンボリーに来て演説をしたことはあるのですが、そこでは「絶対に政治的な発言はしない」、特に「党派的な言動はしない」というのが不文律になっていたからです。最近では、ビル・クリントンや、ジョージ・W・ブッシュもこの「ジャンボリー」で演説していますが、伝統に即して政治色は抜いていたそうです。

これは、アメリカのボーイスカウトが非常に幅広く、社会の草の根に浸透した組織であって、保護者も指導者も超党派的な広がりを持っていることもあります。そして何よりも、主たる対象が11歳から17歳の未成年者ということがあります。ですから、大統領などのゲストには「人生の先輩」として「市民の義務」とか「誠実な生き方」というような一般的な訓話が適切であり、またそのような内容が期待されているからでもあります。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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