コラム

3月14日開業が決まった北陸新幹線に死角はないか?

2014年08月28日(木)11時27分

 こうなると、例えば金沢から来て新橋、品川に行く人にも大宮での乗り換えが便利になります。また、横浜以西の東海道線に行く場合は湘南新宿ラインと上野東京ラインの2つの直通のチョイスができることになります。大宮は埼京線に加えて京浜東北線の始発駅でもあります。

 実は、新幹線の「東京-大宮間」は騒音問題に関する地元との合意事項などのために、最高速度が「110キロ」に規制されています。また新幹線のルートは直線ではなく、大宮から赤羽までは埼京線に沿って西に迂回しています。ですから、東京まで新幹線で行かずに大宮で上野東京ラインに乗り換えても、ダイヤの接続が良ければ東京乗り換えと所要時間は大きくは変わらないはずです。

 もちろんJR東日本もその辺は心得ているようで、現在大宮駅では新幹線コンコースと中央通路の改良工事が急ピッチで進んでいます。この工事の完成も、北陸新幹線と上野東京ラインの開通する「2015年3月中旬」と発表されています。

 これに加えて、いわゆる「エキナカ」サービスで、大宮駅構内の土産物店や弁当販売を、これまで以上に充実させれば、その魅力で大宮乗り換えの乗客を増やすことができるかもしれません。

 北陸新幹線の金沢延伸というインパクトは、北陸から新潟に至る広域圏の鉄道網だけでなく、首都圏の輸送体制にも大きな変化をもたらしていくことになるはずです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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