プレスリリース
Mycenax社との独自ADCリンカー特許利用にかかわる基本合意書締結のお知らせ
2025年06月16日(月)12時00分
株式会社凜研究所(本社:東京都中央区、代表者:藤原 正明、以下「当社」)とMycenax Biotech Inc. (本社:台湾台北市、代表者:Pei-Juin Chen、以下「Mycenax」)は、当社が独自に開発した技術に基づくリンカー特許利用にかかわる基本合意書を締結したことを報告します。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/439479/LL_img_439479_1.jpg
両社の代表
*左から3人目はMycenax 代表のDr. Pei-Juin Chen、右から3人目は当社代表の藤原 正明
1. Mycenaxとの独自リンカー特許利用にかかわる基本合意書(LOI)締結の目的と概要:
Mycenaxと当社は、当社が出願した独自リンカー特許の強化および戦略的マーケティングに関する共同研究を実施し、その成果をもとに、MycenaxにおけるCDMO事業を介して独自リンカーの有用性を国内外にアピールし、将来のビジネス機会およびその規模を増大させる事を目的としています。
今後予定されている「CDMO事業におけるライセンス契約」では、欧米中や日本等の主要国において独自リンカー特許の独占実施権を当社からMycenaxおよびMycenaxのADCアライアンスパートナーであるKriSan Biotech(以下「KriSan」)へ付与する予定です。Mycenaxは当該リンカーを使用する製造受託のマーケティングを行い、当社の独自リンカーの適用候補となる抗体薬物複合体(ADC:Antibody Drug Conjugate)のパイプラインを有する製薬企業との提携を進めます。Mycenaxは契約一時金および製造受託によって獲得した正味販売額に一定の料率をかけた金額をロイヤルティーとして当社に支払います(具体的な数字については非開示)。
2. 本LOIに至る背景:
当社取締役の松村 保広が提唱するがん間質ターゲティング(CAST: Cancer Stromal Targeting)療法は、がん間質に特異的に沈着する不活性成分に対するADCを利用します。リンカーは、ADCにおいて重要な構成要素のひとつです。当社は、このCAST療法を実現するアプローチの1つとして、腫瘍微小環境内の不溶性フィブリン(IF)を標的としたADCにおいて、IF上でのみ活性化されるプラスミンにより特異的に切断されるリンカーを採用しました。こうして設計された抗不溶性フィブリン-ADC(以下「抗IF-ADC」)は、前臨床試験によりがん間質での選択的薬物放出を確認し、膠芽腫(GBM)とすい臓がんモデルにおいて強力な抗腫瘍活性を発揮することが実証されています。注(1)
上記の抗不溶性フィブリン抗体以外にも、がん細胞特異的な標的とする抗体を使ったADCに同リンカーを採用したところ、既存のリンカーと比較してより強い抗腫瘍効果を示すことから、がん細胞膜標的抗体にも応用可能であること、また血清中での安定性も高いことを確認しています。以上の結果をふまえ、凜研究所は、この独自リンカー技術について、2024年11月に特許出願しています。
Mycenaxは、当社のリードパイプラインである抗TMEM180抗体(現在、Phase1試験を実施中)の治験薬製造を受託しています。また、本独自リンカーを採用する後続のパイプラインである抗IF-ADCについても高品質のADC(DAR8)製造に成功しています。
3. 独自リンカー製造受託 -今後の展開-:
昨今、ADCの治療有効性が注目されています。特に難治性のがんにおいて間質でADCからペイロードが遊離された事で効果を示すことが報告されています。注(2) その一方で、通常のがん細胞膜を狙うADCは正常分裂細胞にも結合し、間質性肺炎などの毒性をもたらすことが問題です。また、承認および開発中のADCは100種を超え、飽和状況にあり、新たなADCの戦略が求められています。当社の独自リンカーは間質において特異的にペイロードをリリースさせることを目論んで開発されてきたことから、より高い安全性と有効性を同時に実現できる可能性があります。
研究に基づく発明を事業化するための新たなモダリティー提供を実現したMycenaxにとって、競合優位性の高いリンカーを独占的に使用できることはCDMO事業を更に発展させるために大変有効です。
また、当社においても、製薬企業等がMycenaxに委託製造を依頼することで、研究段階から医薬としての可能性検証が可能となり、製薬企業等へのライセンス機会の可能性と将来のビジネス機会の拡大が大いに期待できます。
今回の様な創薬ベンチャーとCDMOとの取り組みは従来には見られないものであり、今後多くの製薬企業からの製造受託を通して、新たなモダリティー提供の機会になることを期待しています。
4. 本契約における締結先の概要:
■Mycenaxについて
Mycenaxは、台湾におけるバイオ医薬品CDMO のパイオニアであり、細胞株構築、製造プロセス・分析方法・製剤化開発等を含む完全に統合されたバリューチェーンを有し、CDMOサービスを提供しています。MycenaxはGMPに準拠した2つの施設を運営しており、原薬(DS)から製剤(DP)までの包括的な製造ソリューションを提供し、EMA(欧州)、PMDA(日本)、カナダ保健省などの世界的な規制当局の検査に合格しています。
Mycenaxは、グローバルCDMOサービスを強化するため、2022年、抗体、リンカー、ペイロード、ADCのGMP生産能力を提供するKriSanと提携しています。MycenaxとKriSanは、次世代ADCの需要拡大に対応するため、部位特異的結合、マルチアーム構造、デュアルペイロード、新規機能性リンカーに関する専門知識を継続的に発展させることに邁進していきます。
注(1) AMED 革新的がん医療実用化研究事業(研究開発課題名:抗不溶性フィブリン抗体抗がん剤複合体による浸潤がん治療を目指した研究開発)の令和5年度及び令和6年度研究開発費による研究成果
注(2) Li-Chung Tsao et al, Effective extracellular payload release and immunomodulatory interactions govern the therapeutic effect of trastuzumab deruxtecan (T-DXd) Nature Communications, (2025) 16:3167
■会社概要
会社名 : 株式会社凜研究所(RIN Institute Inc.)
所在地 : 東京都中央区築地1-13-10 サクセス銀座東ビル2F
代表 : 藤原 正明
設立 : 2016年1月21日
事業内容: 抗体を主体とした医薬品及び体外診断用医薬品の研究開発
URL : https://rinmab.co.jp/
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
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両社の代表
*左から3人目はMycenax 代表のDr. Pei-Juin Chen、右から3人目は当社代表の藤原 正明
1. Mycenaxとの独自リンカー特許利用にかかわる基本合意書(LOI)締結の目的と概要:
Mycenaxと当社は、当社が出願した独自リンカー特許の強化および戦略的マーケティングに関する共同研究を実施し、その成果をもとに、MycenaxにおけるCDMO事業を介して独自リンカーの有用性を国内外にアピールし、将来のビジネス機会およびその規模を増大させる事を目的としています。
今後予定されている「CDMO事業におけるライセンス契約」では、欧米中や日本等の主要国において独自リンカー特許の独占実施権を当社からMycenaxおよびMycenaxのADCアライアンスパートナーであるKriSan Biotech(以下「KriSan」)へ付与する予定です。Mycenaxは当該リンカーを使用する製造受託のマーケティングを行い、当社の独自リンカーの適用候補となる抗体薬物複合体(ADC:Antibody Drug Conjugate)のパイプラインを有する製薬企業との提携を進めます。Mycenaxは契約一時金および製造受託によって獲得した正味販売額に一定の料率をかけた金額をロイヤルティーとして当社に支払います(具体的な数字については非開示)。
2. 本LOIに至る背景:
当社取締役の松村 保広が提唱するがん間質ターゲティング(CAST: Cancer Stromal Targeting)療法は、がん間質に特異的に沈着する不活性成分に対するADCを利用します。リンカーは、ADCにおいて重要な構成要素のひとつです。当社は、このCAST療法を実現するアプローチの1つとして、腫瘍微小環境内の不溶性フィブリン(IF)を標的としたADCにおいて、IF上でのみ活性化されるプラスミンにより特異的に切断されるリンカーを採用しました。こうして設計された抗不溶性フィブリン-ADC(以下「抗IF-ADC」)は、前臨床試験によりがん間質での選択的薬物放出を確認し、膠芽腫(GBM)とすい臓がんモデルにおいて強力な抗腫瘍活性を発揮することが実証されています。注(1)
上記の抗不溶性フィブリン抗体以外にも、がん細胞特異的な標的とする抗体を使ったADCに同リンカーを採用したところ、既存のリンカーと比較してより強い抗腫瘍効果を示すことから、がん細胞膜標的抗体にも応用可能であること、また血清中での安定性も高いことを確認しています。以上の結果をふまえ、凜研究所は、この独自リンカー技術について、2024年11月に特許出願しています。
Mycenaxは、当社のリードパイプラインである抗TMEM180抗体(現在、Phase1試験を実施中)の治験薬製造を受託しています。また、本独自リンカーを採用する後続のパイプラインである抗IF-ADCについても高品質のADC(DAR8)製造に成功しています。
3. 独自リンカー製造受託 -今後の展開-:
昨今、ADCの治療有効性が注目されています。特に難治性のがんにおいて間質でADCからペイロードが遊離された事で効果を示すことが報告されています。注(2) その一方で、通常のがん細胞膜を狙うADCは正常分裂細胞にも結合し、間質性肺炎などの毒性をもたらすことが問題です。また、承認および開発中のADCは100種を超え、飽和状況にあり、新たなADCの戦略が求められています。当社の独自リンカーは間質において特異的にペイロードをリリースさせることを目論んで開発されてきたことから、より高い安全性と有効性を同時に実現できる可能性があります。
研究に基づく発明を事業化するための新たなモダリティー提供を実現したMycenaxにとって、競合優位性の高いリンカーを独占的に使用できることはCDMO事業を更に発展させるために大変有効です。
また、当社においても、製薬企業等がMycenaxに委託製造を依頼することで、研究段階から医薬としての可能性検証が可能となり、製薬企業等へのライセンス機会の可能性と将来のビジネス機会の拡大が大いに期待できます。
今回の様な創薬ベンチャーとCDMOとの取り組みは従来には見られないものであり、今後多くの製薬企業からの製造受託を通して、新たなモダリティー提供の機会になることを期待しています。
4. 本契約における締結先の概要:
■Mycenaxについて
Mycenaxは、台湾におけるバイオ医薬品CDMO のパイオニアであり、細胞株構築、製造プロセス・分析方法・製剤化開発等を含む完全に統合されたバリューチェーンを有し、CDMOサービスを提供しています。MycenaxはGMPに準拠した2つの施設を運営しており、原薬(DS)から製剤(DP)までの包括的な製造ソリューションを提供し、EMA(欧州)、PMDA(日本)、カナダ保健省などの世界的な規制当局の検査に合格しています。
Mycenaxは、グローバルCDMOサービスを強化するため、2022年、抗体、リンカー、ペイロード、ADCのGMP生産能力を提供するKriSanと提携しています。MycenaxとKriSanは、次世代ADCの需要拡大に対応するため、部位特異的結合、マルチアーム構造、デュアルペイロード、新規機能性リンカーに関する専門知識を継続的に発展させることに邁進していきます。
注(1) AMED 革新的がん医療実用化研究事業(研究開発課題名:抗不溶性フィブリン抗体抗がん剤複合体による浸潤がん治療を目指した研究開発)の令和5年度及び令和6年度研究開発費による研究成果
注(2) Li-Chung Tsao et al, Effective extracellular payload release and immunomodulatory interactions govern the therapeutic effect of trastuzumab deruxtecan (T-DXd) Nature Communications, (2025) 16:3167
■会社概要
会社名 : 株式会社凜研究所(RIN Institute Inc.)
所在地 : 東京都中央区築地1-13-10 サクセス銀座東ビル2F
代表 : 藤原 正明
設立 : 2016年1月21日
事業内容: 抗体を主体とした医薬品及び体外診断用医薬品の研究開発
URL : https://rinmab.co.jp/
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