コラム

追加緩和は絶対にない

2015年10月28日(水)15時56分

 日銀は追い込まれていない。追い込まれているのは、彼らである。追加緩和があると主張してきたり、それに期待、依存して投資してきたり、あるいは海外から見放されて仕事がなくなるのが怖かったり、追い込まれているのは、勝手に自己都合で発言してきた、いわゆる市場関係者である。日銀は、必要なら金融緩和を拡大、あるいは新しい政策を打ち出すだけであり、追い込まれることはない。追い込まれたとすれば、それはゼロ金利となった時であり、それ以来、いわばずっと追い込まれているのだ。黒田総裁は、追い込まれたところから、開き直って、やみくもにインフレを起こす、と宣言した。反則のホームランを打ったようなものであり、中央銀行の伝統と、経済理論によれば、反則負けだが、現状では、黒田総裁及び多くの日本人から見れば、悪いことは起きていないのだから(私は違う見方をしているが)、何も困っていない。

 今回も、淡々と、現状維持となるだろう。

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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