最新記事
シリーズ日本再発見

日本独自のコーヒー文化は、喫茶店と缶コーヒーだけじゃない

2017年02月24日(金)16時00分
安藤智彦

1年分の生豆込み10万円を愛好家はどう捉えるか

日本独自といえば、ネスレ日本が展開する「ネスカフェアンバサダー・プログラム」も支持を集めている取り組みだ。ネスカフェアンバサダーでは、オフィスでの利用を前提に1台1万円近いコーヒーマシンをユーザーに無料で貸し出す。ネスレ日本は、ユーザーにマシン専用のコーヒーパックを販売して収益を得るビジネスモデルだ。

1杯30円程度で飲みたいときに上質のコーヒーを楽しめる手軽さが受け、ネスカフェアンバサダーの参加者は開始3年で20万人を超えた。企業だけでなく、公共施設などにも参加者は広がっている。

さらにこの4月からは、こだわりの強い日本の愛好家をターゲットに、自分だけの1杯を自宅に居ながらにして楽しめる新サービス「The Roast(ザ・ロースト)」をパナソニックが開始する。

The Roastは、世界中の産地から選び抜かれた毎月届くコーヒー生豆と、スマホで管理&操作できる家庭用コーヒーマシンを組み合わせたサービスだ。

届く生豆は、「香り」「味わい」などテーマに沿って季節ごとに選ばれる。豆ごとに複数の焙煎レシピが用意され、ユーザー側がスマホで選んだレシピに応じて、専用マシンで「調理」される流れだ。

そう、The Roastで用意されるコーヒーマシンは、豆を挽いて抽出するだけでなく、焙煎機能も備えるハイスペックなもの。コーヒー豆は生モノだけに、焙煎後は酸化などによってどうしても劣化してしまう。だがThe Roastではコーヒー豆を焙煎してすぐ味わうことができる。

しかも豆の質は折り紙付き。美味しくないはずがない。実際に味わったが、コーヒー専門店で味わう1杯とまったく遜色ないものだった。

The Roastは、1年分の生豆込みで10万円。これを高いとみるかどうか。コーヒー愛好家たちの反響はどちらに転ぶのかが、こうしたプレミアム市場の可能性を図る試金石にもなるだろう。そして一方で今後も、日本独自のコーヒー文化開拓は進んでいくはずだ。

【参考記事】炊飯器に保温機能は不要――異色の日本メーカーが辿り着いた結論

japan_banner500-8.jpg

japan_banner500-7.jpg

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

パープレキシティ、AIエージェント巡りアマゾンから

ビジネス

任天堂株が急伸、業績・配当予想引き上げ スイッチ2

ワールド

NZ失業率、第3四半期は5.3%に悪化 9年ぶり高

ワールド

米ケンタッキー州でUPS機が離陸後墜落、乗員3人 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中