コラム

世界に混乱をもたらす「トランプ関税」をロシアが免れたワケ

2025年04月09日(水)15時45分

ロシアの一人勝ちか

多くのエコノミストはトランプ関税が貿易相手国だけでなくアメリカ経済にも深刻なダメージを与えると予測している。

そうだとすると、ロシアはトランプ関税の影響を最も受けない国の一つともいえる。


おまけに、たとえ関税引き上げを免除されたからといって、ロシアがすぐさま停戦協議に応じるかは不透明だ。トランプの停戦案に乗れば、その時点でアメリカに対するロシアの影響力が低下するからだ。

だからギリギリまで戦闘を続けることがロシアにとって外交的な意味をもつ。その間、トランプはロシアに融和的な態度をとり続ける公算が高い。

トランプ関税の衝撃にはロシアの影響力を相対的に高める効果さえあるといえるのである。

※当記事はYahoo!ニュース エキスパートからの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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