コラム

同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由

2025年03月07日(金)20時15分
石破茂とドナルド・トランプ

ホワイトハウスで会談する石破首相とトランプ大統領(2025年2月7日) Kent Nishimura-REUTERS

<関税引き上げなどをちらつかせ、同盟国すら威嚇するトランプ大統領だが、日本に対しては比較的穏当な姿勢を見せている。そこには、他国にはない、日本独特の理由があった>


・EUに関税引き上げを警告したのと対照的に、トランプ政権の日本への対応は、まだしも交渉の余地のある、穏当なものといえる。

・日本に対する「甘さ」には4つの理由があげられる。①財政・安全保障面での「貢献」、②米ハイテク覇権への「協力」、③イデオロギー的摩擦の少なさ、④暴走への沈黙

・ただし、たとえ関税引き上げ圧力がやや弱くても、日本のこれまでの「貢献」や「協力」に照らすと、損得の帳尻が合うかは不透明。


世界レベルでみてまだマシな日米関係

第二次トランプ政権の発足とともに世界が大きく揺れ動くなか、日米関係はまだ平穏といえる。

もちろん日本も激震と無関係ではなく、USスチール買収問題のほか、自動車関税引き上げなども取り沙汰されている。

ただし、関税引き上げはほとんどの国に共通する脅威で、日本が特に名指しされているわけでもない。

トランプ政権は同盟国でも容赦しない。メンバーのほとんどがNATO加盟国であるEUは2月26日、「関税引き上げが近日行われる」と威嚇された。

これに対して、少なくともアメリカ政府高官から直接の対日批判はほとんど聞かれないし、日本を関税引き上げ対象から除外することを求める協議は静かに続いている。

トランプが日本に比較的「甘い」とすれば、それはなぜか。そこには多くの理由が考えられるが、あえて4つにまとめてみよう。

(1)コスト負担軽減への「貢献」

日本は以前から(かなり頑張って)財政、安全保障の両面でアメリカの負担軽減や収益改善に協力してきた。それはコスト意識の強いトランプに響きやすいだろう。たとえば、

財政支援

日本の米国債保有額は昨年末段階で1兆590億ドルで、外国政府としては世界1位(かつては中国が首位だったが日本が巻き返した)。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏が閣僚刷新検討 イラン戦争が打撃 選挙控

ワールド

商船三井のLPG船がホルムズ海峡を通過 日本関係2

ワールド

ドバイの米オラクル施設に迎撃破片が落下、負傷者なし

ワールド

トランプ政権による大学への人種データ開示命令を仮差
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 8
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 9
    イラン戦争は「ハルマゲドンの前兆」か? トランプ…
  • 10
    満を持して行われたトランプの演説は「期待外れ」...…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 8
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 9
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 10
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story