電気自動車「過剰生産」で対立するG7と中国──その影にジンバブエのリチウム鉱山開発ブーム、現地でいま何が?
先進国が出遅れる理由
これに対して、もちろん先進国企業の活動もゼロではなく、例えばオーストラリア企業Metal Groveもジンバブエでリチウム開発に参入している。
しかし、それでも先進国には出遅れが否めない。
その最大の理由は、欧米が2000年代からこの国に経済制裁をしいてきたことにある。
ジンバブエでは1999年、白人所有地を政府が補償なしで収用できる法律が可決した。
19世紀の植民地時代に入植したイギリス人などの子孫は人口の1%程度だが、ジンバブエ独立後も耕作可能地の半分近くを所有し続けてきた。黒人中心のジンバブエ政府は、これを取り上げてかまわないという法律を作ったのだ。
この問題はいわば植民地支配の遺産と呼べるが、白人財産の没収という事態を受けて、米英など欧米各国はジンバブエに対する経済制裁を発動した。
それと入れ違いのように、ジンバブエに急速に浸透したのが中国企業だった。
その結果、IMFのデータによると、ジンバブエの輸出額に占める中国向けの割合は8.9%(2022年)を占め、国別で最多である(輸入は17.9%)。
アメリカはジンバブエに向かうか
欧米とジンバブエの関係には変化の兆しもある。
ジンバブエ政府は欧米との関係改善を目指して2020年、財産を没収した白人に総額35億ドルの補償金を支払うことを約束した。これを受けて米バイデン政権は今年3月、2003年から続けた経済制裁の多くを解除した。
その前後からアメリカ企業の投資も増えている。ジンバブエ政府によると、2023年にアメリカから流入した対外直接投資(FDI)は1億7520万ドルにのぼった。
とはいえ、アメリカの大々的な参入には限界もある。制裁が全面的に解除されたわけではないからだ。
バイデン政権はジンバブエ政府による人権侵害などを問題視し、ムナンガグワ大統領やその側近に対する資産凍結といった制裁を続けている。
ところで、これらの政府要人のほとんどは、リチウムをはじめ鉱物資源の開発を行う企業の経営などにかかわっている。
そのため、たとえ制裁が政府要人へのピンポイントのものでも、欧米の主要国がジンバブエで資源開発にかかわるハードルは高いままなのである。
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