成熟は幻想、だから『ボクたちはみんな大人になれなかった』の感傷を共有する
世代は一回り以上違うけれど、95年の地下鉄サリン事件が人生の大きなターニングポイントになった僕にとっても、この感傷は共有できる。あの頃はスマホもSNSもなかった。伊藤沙莉演じるカオリとボクとの出会いは雑誌の文通欄だ。でも彼女は去ってゆく。その後もボクは、多くの人を傷つけ、傷つけられ、出会い、そして別れる。体験量が増えるということは、喪失する量も増えるということだ。人の中身はほとんど変わらないと書いたけれど、失うことのつらさと寂しさは、映画のボクもこの原稿を書いている僕も、昔はきっと気付いていなかった。
......今回の原稿は、極めて個人的な思いが色濃いレビューになってしまった。でも世代は違っても、普遍性はきっとあるはずだ。
主演の2人以外にも、俳優たちはみな素晴らしい。1つだけ難を挙げる。ボクにとって最も重要な存在であるはずのカオリの輪郭が希薄すぎる。理由の1つは登場が遅すぎるからだ。時間軸をカットバックするなど、構成で工夫できたと思う。
『ボクたちはみんな大人になれなかった』(2021年)
監督/森義仁
出演/森山未來、伊藤沙莉、東出昌大、SUMIRE
<本誌2024年7月30日号掲載>

アマゾンに飛びます
2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
『エリン・ブロコビッチ』が描いたカリフォルニアの公害と水俣病の共通点と相違点 2025.10.09
ドキュメンタリー映画『非常戒厳前夜』が尹錫悦大統領の戒厳令の深相に迫る 2025.09.20
日本軍の捕虜虐待を描きながら「反日映画」にされなかった『太陽の帝国』の不思議 2025.09.06
抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由 2025.08.21
-
生成AI商材/大手外資系「インサイドセールス「SV候補」」/その他コンサルティング系
ブリッジインターナショナル株式会社
- 東京都
- 年収340万円~450万円
- 正社員
-
未経験OK 外資系有名ブランド企業社内ヘルプデスク業務 京橋駅
株式会社スタッフサービス ITソリューション
- 東京都
- 月給23万5,000円~
- 正社員
-
経理 外資企業向けアウトソーサー
株式会社ビーピーエムアソシエイツ
- 東京都
- 年収800万円~1,000万円
- 正社員
-
外資金融機関での施設警備員/経験OK/夜勤あり/賞与支給/丁寧な研修あり/高収入
株式会社G4S Secure Solutions Japan
- 東京都
- 月給35万円~37万円
- 正社員