冤罪死刑を追ったドキュメンタリー映画『正義の行方』の続編を切望する理由
処刑後の第1次再審請求は14年3月に棄却された。このとき記者会見で弁護団は、検察寄りの報道を続けるメディアを強い口調で糾弾した。それはそのまま、久間犯人説を報じてきた西日本新聞社だけではなく、木寺が所属していたNHKへの痛切な批判でもある。
映画は完結したけれど、現実はまだ揺れている。「元死刑囚とは異なる特徴の男性が女児2人を車に乗せているのを見た」という新たな目撃者の証言は、とても強くて重要だ。
第2次再審請求はどうなるのか。検察はどこまであらがうのか。司法の女神は公正な判断を下すのか。
一点だけ苦言がある。DNA鑑定を不正に操作した可能性を指摘されながら有罪を主張し続けた検察、不備を知りながら再審に応じない裁判所、そして何よりも、執行を急いだ法務省にも取材してほしかった。
でもできなかった。その理由は僕にも分かる。悔しさも共有できる。だからこそ『正義の行方』パート2の完成を深く切望する。

『正義の行方』(4月27日公開)
©NHK
監督/木寺一孝
<本誌2024年3月19・26日号掲載>
アマゾンに飛びます
2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
大評判作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が感じさせるアメリカの「反復力」 2026.01.29
『私は確信する』が教える「確信」することの危うさ 2025.12.24
『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカミーノ』がすごい理由 2025.12.06
ボブ・ディランの伝記映画『名もなき者』にがっかり......彼のミューズをなぜ軽視? 2025.11.14






