「保守王国」の権力腐敗を映し出す、映画『裸のムラ』と馳知事の場外乱闘
さらに馳は、『裸のムラ』の撮影や演出について具体的に検証して結果を報告するようにと言い始めた。むき出しの政治権力の暴走だ。
本作に映し出される保守王国・石川県の県議会の姿は、自民党一強の時代が半世紀以上も続く戦後日本の縮図だ。権力は必ず腐敗する。暴走する。だからこそメディアは権力監視を怠ってはならない。
そう主張する映画に権力が圧力をかける。膝から力が抜けるほどに分かりやすい。でもこれはこの国の現状なのだ。
『裸のムラ』(アンコール公開中)
©石川テレビ放送
監督/五百旗頭幸男
<本誌2023年5月30日号掲載>
この筆者のコラム
「保守王国」の権力腐敗を映し出す、映画『裸のムラ』と馳知事の場外乱闘 2023.05.25
カジノ誘致を阻止した保守の重鎮と主権在民 映画『ハマのドン』に見るこの国の行方 2023.05.16
社会批評も風刺もないけれど、映画『アフタースクール』を甘くみたらダマされる 2023.04.19
老人自ら死を選択する映画『PLAN 75』で考えたこと 2023.03.20
黒澤明の傑作映画『生きる』のテーマは「生」でなく「組織と個」 2023.02.17
選挙に新たな視点を与える映画『センキョナンデス』の2つの見どころ 2023.02.08
殺人者の逃避行でも、映画『悪人』に本当の悪人は1人もいない 2023.01.05