「保守王国」の権力腐敗を映し出す、映画『裸のムラ』と馳知事の場外乱闘
さらに馳は、『裸のムラ』の撮影や演出について具体的に検証して結果を報告するようにと言い始めた。むき出しの政治権力の暴走だ。
本作に映し出される保守王国・石川県の県議会の姿は、自民党一強の時代が半世紀以上も続く戦後日本の縮図だ。権力は必ず腐敗する。暴走する。だからこそメディアは権力監視を怠ってはならない。
そう主張する映画に権力が圧力をかける。膝から力が抜けるほどに分かりやすい。でもこれはこの国の現状なのだ。
『裸のムラ』(アンコール公開中)
©石川テレビ放送
監督/五百旗頭幸男
<本誌2023年5月30日号掲載>
台湾映画『流麻溝十五号』が向き合う白色テロという負の歴史 2024.09.10
アメリカでヒットした『サウンド・オブ・フリーダム』にはQアノン的な品性が滲む 2024.08.30
成熟は幻想、だから『ボクたちはみんな大人になれなかった』の感傷を共有する 2024.07.27
和歌山カレー事件は冤罪か?『マミー』を観れば死刑判決の欺瞞を実感する 2024.07.04
『関心領域』が隠した「塀の向こう側」は今もある 2024.06.21
宮益坂のスナックとゆういちさんと西部劇『男の出発』 2024.05.25
『ありふれた教室』は徹底的に地味、でもあり得ないほどの完成度だ 2024.05.08