殺人者の逃避行でも、映画『悪人』に本当の悪人は1人もいない
「聖人の仰せならば、私はなんでもします」と胸を張る弟子の唯円に、親鸞は「では1000人殺しなさい」と命じる。驚いた唯円が「私の器量ではできません」と答えると、「人を殺せないのはおまえが善人だからではない。同時に、殺害はいけないと思っていても、もしもそのような縁がもよおすなら100人、1000人と殺すのだ」と親鸞は言った。『歎異抄(たんにしょう)』で最後のフレーズは、「さるべき業縁(ごうえん)のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」。
この業縁を、僕は環境設定と訳す。善なる存在として人は生まれるが、環境によっていかようにも変わる。まさしくこの映画のテーマだ。
それは増尾を殺そうとしても殺せない佳乃の父親(柄本明)、メディアに追いかけ回される祐一の祖母(樹木希林)、あるいは一瞬だけ登場するバス運転手(モロ師岡)や増尾の友人(永山絢斗)の描き方からも明らかだ。何といっても深津絵里が素晴らしすぎる。白状するけれど、ラストは久しぶりに号泣した。
『悪人』(2010年)
監督/李相日
出演/妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり
<本誌2023年1月10日号掲載>
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