絶対的な悪人も差別者もいない 21年経っても色あせない映画『GO』の若々しさとメッセージ

ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<在日コリアン2世の高校生が主人公の青春映画。登場人物は漫画チックなほどに暴力的。でも真の悪人や差別者は1人もいない。何が人をあり得ないほど狂暴にするのか>
コリアン・ジャパニーズを主人公とした映画として『GO』は、既に古典的な位置にあると言えるかもしれない。公開から21年が過ぎている。でも作品はずっと若々しい。
東京の普通高校に在籍している杉原は在日コリアン2世だ。恋人になったばかりの桜井に自分の国籍を告白しなくてはならないと思いながらも、なかなかそのタイミングをつかめない。でも朝鮮学校時代からの親友だった正一(ジョンイル)が日本人学生に刺殺されたことをきっかけにして、桜井に自分の国籍は日本ではないと告げる。
このストーリーラインで着目すべきは、正一が刺された理由だ。チマチョゴリを着た女子生徒が日本人学生に絡まれていると思い込んだ正一は、2人の間に割って入ろうとした。しかし日本人学生は女子生徒に因縁をつけようとしていたわけではなく、恋心を打ち明けようとしていたのだ。
杉原の父親やヤクザの親分、朝鮮学校の教師や先輩たちも含めて、この映画の登場人物たちは漫画チックなほどに暴力的だ。ところが正一が刺されるエピソードが示すように、絶対的な悪人や差別者は1人もいない。国籍が日本ではないことを告げられて動揺しながら「中国人と朝鮮人の血は汚い」とまで言う桜井も、ラストには別の顔を見せる(ここの展開はちょっと安易とは思うが)。
終盤で杉原に声を掛ける警察官や杉原の父親に息子への暴力をけしかけるタクシー運転手も、とても善良で優しい人たちだ。これを映画的メルヘンと解釈する人もいるだろう。でも僕はむしろ、この現実認識はとてもリアルだと思う。
ユダヤ人大量移送の責任者としてナチス最後の戦犯などと呼ばれたアドルフ・アイヒマンは、戦後に潜伏していたアルゼンチンで、イスラエルの諜報機関であるモサドに捕獲された。長くアイヒマンを監視しながら決定的な証拠をつかめなかったモサドの工作員は、尾行中のアイヒマンが仕事帰りに花屋で花を買ったことで、本人だと確信したという。なぜならその日はアイヒマン夫妻の結婚記念日で、家で夫の帰りを待つ妻のために、アイヒマンは毎年花を買っていたからだ。
その後にエルサレムの法廷で被告席のアイヒマンを傍聴席から見つめながら、ハンナ・アーレントは「凡庸な悪」というフレーズを想起する。邪悪で冷血だから悪事をなすのではない。気弱で誠実で組織に忠実からこそ、人はあり得ないほどに残虐な振る舞いをしてしまうときがある。
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