コラム

90年代渋谷の援交を描く庵野秀明監督『ラブ&ポップ』の圧巻のラスト

2020年10月09日(金)11時15分

ドローンもない時代にどうやって撮ったのかと(自分も一応プロなのに)首をひねりたくなるようなカメラワークがとにかく斬新。消費とは何か。欲望はどこまで肯定すべきか。消費のために自分の体を誰かに消費させる。その循環に意味はあるのか。

冷蔵庫の中で凍った犬。いつか結婚して母になる。自分を大切にするとはどういうことか。でも私は凍った犬を抱き締めた──カットバックするショットと女子高生たちの言葉とナレーションがシンクロする。そしてあの有名なラスト。いつの間にか渋谷川に入る4人をカメラは撮り続ける。ただひたすら撮り続ける。

冒頭では躊躇したけれど、これは断定する。これまで観た無数の映画の中で、間違いなくベスト3に入るラストだ。

magm201009_LoveHop2.jpg『ラブ&ポップ』(1998年)
©1998 ラブ&ポップ製作機構
監督/庵野秀明
出演/三輪明日美、工藤浩乃、希良梨、仲間由紀恵

<本誌2020年9月1日号掲載>

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プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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