コラム

国葬で噴出した「日本人」の同調圧力

2022年10月18日(火)12時20分

ここまで紹介した「日本人」をめぐる発言の数々はかなり異様に映る。

もし8割が国葬賛成といった状況であれば、「少数意見に対する危険な抑圧」という印象が強かっただろう。だが実際には反対の声が多数であるため、現実と願望を取り違えた滑稽さのほうが目立ってしまっている。

結局、安倍元首相の死を政治的に利用する試みは失敗した。

内閣葬でも自民党葬でもなく国葬を選択した岸田首相には、一人の死を国家の物語に結び付け、内閣や自民党という「部分」が日本社会「全体」を取り込めるという判断があっただろう。

だが実際には部分と全体の乖離があまりに大きく、その乖離を埋めたりごまかしたりするために呼び出された言葉の1つが「日本人」だった。

国葬をして何が残ったか。「日本人なら」という同調圧力をかけられても、多くの人は意見を変えなかった。

この社会にある自由の証拠としてその事実は記憶しておきたい。

<2022年10月25日号掲載>

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プロフィール

望月優大

ライター。ウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。著書に『ふたつの日本──「移民国家」の建前と現実』 。移民・外国人に関してなど社会的なテーマを中心に発信を継続。非営利団体などへのアドバイザリーも行っている。

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