コラム

かんぽ生命不正販売、3人謝罪会見が象徴する「責任の分散」という要因

2019年08月23日(金)16時15分

星野リゾートの人事の仕組みが、さまざまなメディアで特集されている。役職に手を挙げる制度や、分業化せず1人の従業員がマルチに全ての業務を行うことなどが紹介されている。

それらをくくるキーワードは、「責任の分散を起こさせない仕組み」だと筆者はみている。強烈な当事者意識を起こさせる仕組みが働いているということだ。当事者だからこそ仕事が面白い。

キーエンスには、役割を全うする強さがある

また、別の事例では、社員の平均年収の高さが話題になるキーエンス。工場内のセンサー機器を手掛ける会社だが、従業員の平均年収は2110万円(2019年3月期)。その高収益を生み出す仕組みとしてよく紹介されるのが、徹底した役割意識だ。

営業は、取引先のキーマンを把握し、現場の悩みを詳細に聞き出す。いま何が困っているのか、何ができると助かるのか。その詳細なヒアリング情報を自社の開発担当者に提供し続ける。開発担当者はその膨大な情報を基に、まだ他社が提供していない機能を、どこよりも早く開発し続ける。

5月8日付の日経新聞にはこうある。


実は、営業担当者と開発担当者はほとんど顔を合わせない。資料の提示のみで新製品の説明を済ませるケースが大半だ。社内会議の時間すら惜しむのは、他社が同様の製品を出すまでに一つでも多く売るため。縦割りを徹底し、「新製品を高速サイクルで作り続ける」。

もうお分かりだろう。自分が何の役割を担うのかが明確であり、誰かがやってくれるだろうという「責任の分散」とは無縁の仕組みが構築されているのだ。

企業の盛衰を分ける「責任の分散」という概念。ぜひ、さまざまな企業の情報をこの視点で見てほしい。「責任の分散」が起こり始めた会社に未来はない。

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プロフィール

松岡保昌

株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士の資格も持ち、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。リクルート時代は、「就職ジャーナル」「works」の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長として同社の急成長を人事戦略面から支え、その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として広報・宣伝のあり方を見直す。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長、福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを担当。AFPBB NEWS編集長としてニュースサイトの立ち上げも行う。現在は独立し、多くの企業の顧問やアドバイザーを務める。

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