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データマイニングは犯罪対策をどう変えたのか? 日本が十分に駆使しきれていない「意外な理由」
もっとも、それがそのまま犯罪対策になるわけではない。データマイニングは法則(関連)を見つけても、そのメカニズム(背景)までは教えてくれないからだ。見つかった法則のうち、どの法則を優先的に採用するかを決めるのは人間の仕事である。
これについて、イェール大学のイアン・エアーズは、「直感と定量分析とを行き来することで、単なる直感主義者や単なる数字屋がこれまでやったよりずっと先を見通せる」と述べている。コンピュータが自動推論(機械学習)するようになっても、経験や直感の出番はなくならないらしい。
犯罪対策を立案・実施するには、ビッグデータをデータマイニング、そして経験に裏付けられた勘によって、戦略や戦術に直結する知識として編集することが必要だ。これは、「ビッグデータからスマートデータへ」「インフォメーションからインテリジェンスへ」などと呼ばれている。
アメリカやイギリスでは、このインテリジェンスを重視した「インテリジェンス主導型警察活動」が盛んだ。その特徴が先制的であるため、最近では「予測型警察活動」と呼ばれることが多い。
その代表格が、米国メンフィス市警察のリアルタイム犯罪センターが展開する「ブルークラッシュ」だ。Blueは警察官を意味し、CRUSHはCrime Reduction Utilizing Statistical History(統計履歴を活用した犯罪減少)の頭文字を取った略語である。
この予測システムは、メンフィス市警の犯罪分析課と、メンフィス大学のリチャード・ヤニコウスキーのパートナーシップの下で開発された。
ブルークラッシュでは、第一に、日時、場所、手口、天候、動機といった犯罪発生に関するデータ、そして住所、職業、顔色、髪形、声質といった犯罪者に関するデータなどをコンピュータに入力する。第二に、統計解析とGISのソフトウェアを実行して、犯罪のパターンとトレンドを抽出し、ホットスポット(犯罪多発地点)を特定する。
このようにして、いつどこでどのような犯罪が起きるかを予測できれば、パトロールにおいて、警察官の効率的な配置が可能になる。それによって、犯罪を未然に防いだり、犯罪者を現行犯逮捕したりする確率が高まるわけだ。

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