コラム

イギリスはアメリカの犬じゃない...ぎくしゃくする両国関係、イギリスが抱える「トラウマ」とは

2026年03月10日(火)14時00分
スターマーとトランプ

スターマーとトランプ(2025年2月撮影) Joshua Sukoff-shutterstock

<イラン戦争巡りトランプ米大統領とスターマー英首相の間に亀裂が入りつつある>

[ロンドン発]米・イスラエル両軍による大規模なイラン攻撃「エピック・フューリー作戦」を巡りドナルド・トランプ米大統領とキア・スターマー英首相の間に亀裂が走っている。英与党・労働党内にはトニー・ブレア首相(当時)が米国と強行したイラク戦争のトラウマがある。

【動画】トランプ、スターマーを挑発

2月28日、米・イスラエル両軍が大規模な空爆を開始、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師ら政権幹部を殺害した。トランプ氏は英国にインド洋・ディエゴガルシア基地とフェアフォード基地の使用を要請したが、スターマー氏は「法的根拠の欠如」を理由に拒否した。

「イランは米国の核心的な国家安全保障に対する脅威だ。イランの海軍を殲滅し、ミサイルサイトを破壊する」と意気込むトランプ氏に対し、スターマー氏は「英国はこの空爆でいかなる役割も果たしていない。事態のエスカレーションを望んでいない」と慎重姿勢を見せた。

ブッシュ米大統領の「プードル」と呼ばれたブレア氏

3月1日、イランが中東の米軍基地やキプロスの英軍基地を報復攻撃したのを受け、スターマー氏は一部、方針転換し「防御目的」に限り基地使用を許可。しかし「英軍機は同盟国を保護する地域防衛作戦の一環として空を飛んでいるが、攻撃には参加しない」と改めて釘を刺した。

トランプ氏は英紙デーリー・テレグラフ(3日付)のインタビューでスターマー氏の優柔不断さを痛烈に批判した。「基地使用許可までにあまりにも時間がかかりすぎた。これまで両国間ではなかったことだ。非常に失望した」

スターマー氏は「英国は『空からの体制転換』には賛同しない。イラクの教訓を忘れてはならない。英国の行動には常に合法的な根拠と考え抜かれた実行可能な計画が必要」と改めて強調した。

ジョージ・W・ブッシュ米大統領(当時)の「プードル」と呼ばれたブレア氏が念頭にある。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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