コラム

プーチンに、本気で停戦する気はある? 欧州側にも欠けている、和平実現の「要のピース」とは

2025年03月15日(土)13時14分

和平交渉、肝心要のピース

「和平を保証するにはロシアが再び攻撃してこないことをキーウに確信させられる国際部隊が必要となる。重要なのは米国による保証によって部隊とその任務の安全を保証することだ」とバリー上級研究員は強調する。平和維持部隊も最後は米国頼みになる。

マクロン氏は「フランスと英国はウクライナ和平とわれわれの集団的な信頼性を維持するためのプレゼンスとして米国の支援とバックアップとともに平和維持部隊をウクライナに派遣する用意があるという提案を行っている」ことを明らかにした。

しかしピート・ヘグセス米国防長官はウクライナに展開するNATO加盟国の部隊にNATOの5条(集団防衛)の適用を認めないと述べている。 多くの欧州諸国は最悪の場合、米国が軍事支援を提供するという保証がなければ部隊展開を望まない恐れがある。

和平交渉の肝心要のピースは欠けたままだ。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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