最新記事
欧州情勢

プーチンの最終目標が見えた──トランプが非難する『選挙を経ていない独裁者』、ゼレンスキーの孤立

Russia’s Playbook

2025年2月26日(水)15時50分
カテリーナ・ボンダール(米戦略国際問題研究所ワドワニAIセンター研究員)
プーチンの深謀遠慮、ゼレンスキーの袋小路

間もなくゼレンスキーは、政権交代を望むプーチンとトランプの2人から攻撃されることになるかもしれない UKRAINIAN PRESIDENCYーABACAーREUTERS

<和平名目で急接近の米ロトップ、「元スパイ」得意の情報工作で独立国家ウクライナは消滅し、再びロシアの支配下に?>

ロシアによる侵攻が4年目に突入したウクライナ。今も無人機攻撃による死者が後を絶たず、前線から届くのは重苦しい知らせばかりだ。

ウクライナ国民は心理的な負担を募らせ、世論にも変化が見える。調査では国民の約3人に1人がロシアに対する領土的な譲歩を受け入れてもいいと答え、すぐにロシアとの和平交渉を始めるべきだと考える人は44%いた。


2月にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、交渉に前向きな姿勢を示した。米トランプ政権に対しては将来の軍事支援と引き換えに、ウクライナが潤沢に持つレアアース(希土類)など天然資源へのアクセス権を認めることを示唆していた。

だが、この案は交渉におけるウクライナの立場を強めるどころか、多くのウクライナ国民が「経済的植民地」になると危惧する展開を招いた。

米政府が示した協定の草案で、アメリカはレアアースなど希少資源の50%の所有権を取得するが、安全保障については一切確約しないとされていた。最終的にウクライナはこの案を拒否した。

情勢をさらに複雑にしているのが、ドナルド・トランプ米大統領が米ロ関係の正常化への協議を決定したことだ。

BAT
「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世界の構築を共に
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ

ビジネス

スウェーデン、食品の付加価値税を半減へ 景気刺激へ

ワールド

アングル:中ロとの連帯示すインド、冷え込むトランプ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中