コラム

プーチンに、本気で停戦する気はある? 欧州側にも欠けている、和平実現の「要のピース」とは

2025年03月15日(土)13時14分

空や海、前線でも無条件停戦を求める米国の提案をウクライナは受け入れた。米国は監視と検証を組織する用意があるとウクライナに説明した。しかし、はっきりと「ノー」と言わず、事態を長引かせ、解決を不可能にするのがプーチンの常套戦術である。

「停戦中に長期的な安全保障と永続的な平和に関する疑問への答えを準備し、戦争を終わらせる計画をテーブル上に載せる。時間稼ぎをしているのはロシアだけだ。われわれは平和的手段により紛争に終止符を打つという考えに全面的に賛成だ」とゼレンスキー氏は話した。

英仏主導の「有志連合」で「地上部隊と航空部隊」派遣

プーチンが戦争の継続を望んだとしても、ロシアの独立系世論調査機関レバダセンターによると、今年1月時点でウクライナにおける特別軍事作戦を支持するロシア国内の声は78%と依然として高いものの、60%以上が和平交渉への移行を支持している。

和平最大の課題はウクライナの安全保障をどう保証するかだ。キア・スターマー英首相とエマニュエル・マクロン仏大統領は「有志連合」を結成し「地上部隊と航空部隊」を派遣してウクライナの和平を保証すると表明した。有志連合の結成に約20カ国が関心を示している。

英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のベン・バリー上級研究員(陸戦)は「これは公平性、最小限の武力行使、同意を重視する国連平和維持活動の形をとるものではない。ロシアは北大西洋条約機構(NATO)諸国の参加を認めないと何度も表明している」と指摘する。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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