コラム

英議員、コロナワクチンは「ホロコースト以来最大の犯罪」...「ワクチン離れ」に強まる懸念

2023年01月18日(水)17時48分

英国免疫学会コロナタスクフォースのデボラ・ダン=ウォルターズ議長は「ワクチンは重症化や死亡を防ぐ最も安全で効果的な方法であり、大多数の人々には恩恵がリスクをはるかに上回ることを示す複数の研究による膨大な証拠が存在する。高齢者や免疫系が弱っている人などコロナ弱者に特に当てはまるため、冬にブースターワクチンが提供された」と言う。

コロナワクチンのリスク・ベネフィット評価に関わってきた英ブリストル大学小児科のアダム・フィン教授は「ワクチンの副作用の存在を否定することも誇張することも、一般の人々や公衆衛生、医学や科学に対する信頼を維持する上で大きなマイナスだ。重篤な副作用は確かに発生するが、非常にまれなことで、恩恵はほぼ万人に及んでいる」と強調する。

「重要なのは有害性に対する有益性のバランス」

英レスター大学治療学のケント・ウッズ名誉教授も「重要なのは有害性に対する有益性のバランスだ。臨床試験と疫学的データの両方から国民全体に対するコロナワクチンの有益性が潜在的な有害性をはるかに上回るという圧倒的な証拠がある。世界的にはコロナワクチンが接種された初年度で推定2000万人の死亡が予防された」と指摘する。

「下院のような公の場では、科学的に間違った主張で国民を惑わさない責任がある。ブリジェン氏は昨年12月の討論でワクチンを承認した世界中の規制当局が産業界に『取り込まれている』と示唆し、信用を失墜させようとした。しかし英国の医薬品規制を産業界の資金で賄うことは議会が定めた仕組みだ」とウッズ氏は反論する。

世界保健機関(WHO)は国際公衆衛生に対する10大脅威の中にワクチン接種へのためらい(ワクチンヘジタンシー)を挙げている。「はしか、おたふく風邪、風疹予防の新三種混合(MMR)ワクチンを接種した自閉症児の様子がおかしくなった」というデタラメ論文で英国のMMRワクチン接種率は達成目標の95%から約80%に低下し、少なくない命が失われた。

犬が人を噛む話より、人が犬を噛む極端なニュースが大好きなメディアにもワクチンの潜在的な有害性をことさら強調してしまう弊害がある。パンデミックやワクチンに関しては、一部を切り取って誇大に伝えたり、細切れに報道したりするより、「木(部分)」ではなく「森(全体)」が見えるよう読者に伝えることが重要だ。

「短い間隔で接種を繰り返すのは持続的な長期戦略とは言えない」の真意

日経新聞(昨年1月)は、欧州医薬品庁(EMA)が、コロナワクチンの追加接種を短い間隔で繰り返すことに懸念を示したと報じた。EMAのワクチン戦略責任者マルコ・カバレリ氏が「追加接種は臨時措置であり、短い間隔で接種を繰り返すのは持続的な長期戦略とは言えない」「4カ月ごとに追加接種を繰り返すと免疫に負荷をかける恐れがある」と警告したという。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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