コラム

プーチンは本気で「歓迎」されると思っていた...幻想を打ち砕かれ、本格攻撃へ

2022年03月08日(火)17時10分

「ロシア軍は巨人でも子供でもない」

コフマン氏は「ロシア軍を過大評価したとの声が多いが、まだわれわれの知らないことがたくさんある。ロシア軍は初期の作戦で航空戦力を使っていない。これまで他の作戦でロシア軍が航空戦力を使うのを見てきた。これだけ大規模の作戦を実施した経験を欠いていたのは間違いない。しかし、ロシア軍は身長4メートル近い巨人ではないものの、1.2メートルの子供でもない」と慎重な見方を示す。

ロシア軍は適切に組織され戦争の準備を整えさえすれば、持続的な作戦や攻撃を遂行できる。初期作戦の失敗でウクライナ国民の支持を得られるというシナリオが妄想に過ぎないことを思い知らされると、今度は一転して主要都市に対し砲撃や空爆、ミサイル攻撃を始めた。

ロシア軍は、無差別に被害を広げるクラスター弾や「真空爆弾」と呼ばれる人体に致命的な損害を与える燃料気化爆弾も使用している。シリアのような凄まじい破壊を見るのはもはや避けられないだろう。悲しいことだが、それはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とプーチン氏が話し合うきっかけになるかもしれない。

「私はこの戦争がどのように進展しようとも、親露派政権の樹立という政治目標を達成できるとは思わない。軍事的な目的は達成できても、政治目標は達成できない。ロシアは全面戦争を秘密にしようとしていた。東部ドンバスの特別作戦だと偽って、ウクライナへの全面侵攻を開始した。だから今、この戦争を再ブランド化し、ロシア国民の支持を得ようとしているが、もう遅いだろう」とコフマン氏は言う。

ウクライナ戦争はさらに激化し、血で血を洗う市街戦に発展する恐れが膨らむ。しかしウクライナ軍とウクライナ国民の健闘は称賛に値しよう。

「ウクライナの教訓は非常にシンプルだ。違いをもたらす戦術的な能力を与えるだけでいい。目が飛び出すほど高価でピカピカの装備は必要ない。戦術的な能力を与えれば自国を守ることに熱心な国なら自国をしっかり守れるだろう。簡単に破壊されるような大きくてピカピカの兵器をカタログショッピングで買いたがるのは大きな無駄だ」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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