コラム

122兆円の予算案の行方...なぜ高市首相は「積極財政」から「緊縮財政」へと転向したのか?

2026年01月15日(木)17時38分

首相になった途端に緊縮的な内容に傾いた2つの理由

当然のことながらここで大きな疑問が湧いてくる。高市氏は財政健全化を重視する財務省を強く牽制し、積極財政を主張してきた政治家だが、首相になった途端、なぜ財政健全派に配慮した数字を承諾したのか。今回の予算案が想定外に緊縮的な内容に傾いた理由としては2つ考えられる。


1つは市場が抱く日本の財政悪化懸念について、高市氏自身も強く認識し始めたというものである。昨年末、日銀は利上げを実施したが、これまで日銀を強く批判してきた高市氏は、直前になって事実上の方針転換を行い、利上げを容認した。

この件については諸説、飛び交っているものの、高市氏が日本の財政状況を詳細に知るに至り、従来の考えを撤回したとみる関係者は多い。一方で、そうではないとする見方もある。

高市氏の本心はともかく、自民党全体として高市氏の支持率が高いうちに、財政健全化のメドをつけようという意向が強く働いたとの分析である。安倍政権の時代はまさにそうだったが、高市政権もある種のブームとなっており、これまで多くの国民が反対していたプランについても、高市氏が口にすると多くの支持が集まるという奇妙な状況となっている。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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