世界に誇れる「日本の医療制度」の行方...政府が進める「医療費の削減」は、なぜ難しい?
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<OTC類似薬の保険適用の見直しを掲げ、保険料引き下げを訴える自民党と日本維新の会だが、他国にはない充実した日本の医療制度の改革には丁寧な議論が必要だ>
政府与党内で医療制度改革に関する議論が始まった。高市政権は、かねてから医療費の抑制や保険料の引き下げを主張している日本維新の会との連立政権ということもあり、改革には積極的なスタンスを示している。
維新は医療費に多くの無駄があるとして、4兆円程度の削減が可能と主張しており、本当に当該規模の削減を実施できた場合、単純計算で1人当たり年間6万円(月当たり5000円)程度、保険料を安くできる。
日本の医療費は高齢化に伴い増大の一途をたどってきたが、命に関わる分野ということもあり、本格的な議論はタブー視されてきた面がある。その意味では、今回、当該問題に正面から取り組むことができたのは、維新との連立政権ならではと言ってよいかもしれない。
しかしながら、現実に医療費を削減、あるいは保険料を引き下げるのは簡単ではない。今回の協議ではOTC類似薬(※)を中心に保険適用の見直しが模索されているが、現実にそのプロセスを実行に移すとなると、相当な困難が予想される。
※OTC類似薬:OTC(市販薬)に有効成分が似ている処方薬のこと。これを保険の対象外にしようとする動きが出ている。
例えば解熱剤一つ取っても、市販薬と同じ扱いにしてよいのかは患者の状態や医師の判断によってさまざまで、単純に一律適用できるものではない。薬の種類も多岐にわたっており、適用除外製品を選定する作業そのものが困難を極めるだろう。
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