コラム

セブン「買収提案」の意味は重い...日本企業の「バーゲンセール」が始まり、外資の草刈り場になる未来

2024年09月05日(木)17時11分

このままでは日本企業が外国に切り売りされるリスクが

かつての日本企業は海外からの買収提案が出てくると、買収防衛策などを乱発し、株主の利益などお構いなしに一方的に買収を拒否するケースが多かった。

だが近年は、政府のスタンスが大きく変わっており、会社側の都合だけで買収を拒絶することが難しくなっている。経済産業省は23年8月、「企業買収における行動指針」を策定し、合理的な買収提案については真摯に対応するよう企業に対して指導を行っている。

セブンが外資に買収されてしまうのかは現時点では何とも言えないが、このまま円安と日本企業の経営効率の悪さを放置すれば、著名な日本企業が次々と買収ターゲットとなり、場合によっては外国に切り売りされてしまうリスクが高まっている。企業価値向上の努力を怠り、通貨を安くしたツケが回ってきたと言えるかもしれない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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