コラム

感染症予防の意識が低すぎる日本企業の「働かせ方」にも改革が必要だ

2020年02月19日(水)11時22分

しかし、最も重要なのは社員の体調管理だろう。過重労働を避け、万が一感染した場合には無理に出社しなくても業務が回るようあらかじめ社内体制を構築しておけば、それだけで感染拡大リスクを大幅に減らせるはずだ。

これらを俯瞰的に眺めてみると、実は感染症予防というのは企業の働き方改革やIT化と密接に関係していることが分かる。IT化を進めて書類のやりとりやムダな会議をなくせば接触感染のリスクを減らせるし、個人のペースに合わせた出勤が定着すれば、満員電車による感染リスクも軽減できる。

今回の肺炎騒動でIT大手のGMOインターネットは、国内従業員の9割に当たる4000人を2週間の在宅勤務に切り替える決断を行っているし、業務のネット化が進む中国では、多くの企業で在宅勤務が行われており、感染拡大防止に効果を発揮しているとの報道もある。

国家による強力な対策を求めることも重要だが、企業レベルで実施できるものも多く、こうしたミクロな対策の積み上げは最終的にマクロで効いてくるので効果が高い。一連の措置は働き方改革にもつながることであり、本腰を入れて取り組む価値は十分にあるはずだ。

<本誌2020年2月18日号掲載>

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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