コラム

菅首相選出に国民はしらけムード、日本の統治体制は死に体だ

2020年09月15日(火)06時45分

日本で自民党と旧民主党系が対立する構図は、戦後冷戦の資本主義と社会主義の対立を反映したもので、ソ連崩壊後の今は古くなっている。双方は解党して、別の対立軸に基づく政党をつくるべきなのだ。

アメリカでも、共和党も民主党も一度解党して、低所得者と高所得者という対立軸に基づく二大政党にでも再編成するべきだ。イギリスでも、ドイツでも、フランスでも、既存の政党構図はきしみを立てて壊れつつある。近代欧州に育った民主主義は国民一人一人の権利を高めることで偉大な成功を収めたが、まさにそのために民主主義の目詰まりを起こしてしまった。この大いなるパラドックスは、世界中で議論を高めて解決していかないといけない。

今回の総裁選びの過程では、外交が議論の対象になっていないのも驚くべきことだ。細かいことはいいので、日本の立場、日本の利益を外国の首脳にきちんと伝え、取引のできる能力を持っているかどうか。その点も判断の大きな基準にしてほしかった。ないものねだりかもしれないが。

<2020年9月22日号掲載>

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9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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