コラム

トランプ栄えて国家は滅ぶ──2025年の世界を予測する

2018年07月21日(土)14時20分

こうしてトランプのアメリカは要求を貫いていく。アメリカに歯向かえば、米銀行との取引禁止で国際貿易から締め出され、対米輸出を制限されて干上がってしまう。トランプの2期目が終わる25年には、アメリカを「世界政府」とする世界の統一あるいは征服が成っているかもしれない。多民族国家アメリカはそれ自体が小型版世界なので、それが全世界に広がるのはアメリカ人にとって不思議ではない。

それで世界が平和で住みやすくなれば、それでもいい。世界が「国」単位にいつまでも相争っているのはおかしなことだ。だが世界国家の利益を、アメリカ人が独占するのは困る。

18世紀後半、北米植民地はイギリスに対して「代表(議会での議席)なくして課税なし」という標語を掲げた。近い将来、世界各地から米議会に議員を送り込み、米大統領選にも全国区ならぬ「世界選挙区」を設けてもらうべき時代になる......のかもしれない。

<本誌2018年7月24日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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