コラム

シリア「虐殺された町」の市民ジャーナリストたち

2018年04月13日(金)18時03分

「テロとの戦いを口実にして」と米軍・有志連合を告発

RBSSは米軍・有志連合がラッカ市への侵攻作戦を始めた2017年6月にホームページでこう告発した。

「ラッカ市は有志連合とその同盟者(=SDF)による組織的な破壊を受けている。民間人に対するあらゆる人権侵害がISと戦うという口実のもとに行われ、全く非難を受けることはない。有志連合とSDFはテロとの戦いを掲げて、ISが4年間の戦争の中で行ったよりも多くの民間人を殺した」

「テロとの戦いを口実にして」とは、RBSSがCPJの授賞式でアサド政権を非難した言葉である。RBSSが非難するように、IS掃討を目的としたテロとの戦いといいながら、米軍・有志連合の空爆はISもろともRBSSの足場である市民たちを無差別に殺戮している。

2017年10月、SDFがラッカ市を制圧したときには、SDFのクルド人民兵による略奪がラッカで広がったことをRBSSは報じた。IS陥落の後、RBSSのフェイスブック・ページのカバーには右側に黒旗を揚げるIS、左側にクルド人部隊の画像が並べられ、「ラッカの新たな占領」とタイトルが付けられた。ISの占領が終わり、クルド人の占領が始まったという意味である。

RBSSのツイッターアカウントが4月8日深夜に出したツイートは次のようなものである。

「ラッカ西部のマンスーラ村のアティバア通りでSDFによる強制的徴兵を停止し、SDF民兵が町から出て行くことを求めるデモがあった。その後、民兵はデモを排除し、多くのデモ参加者を拘束した」

ラッカからISは排除されても、市民の苦境は終わらず、RBSSの闘いは第3幕に入っている。

※映画
『ラッカは静かに虐殺されている』は4月14日より、アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国で順次公開

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プロフィール

川上泰徳

中東ジャーナリスト。フリーランスとして中東を拠点に活動。1956年生まれ。元朝日新聞記者。大阪外国語大学アラビア語科卒。特派員としてカイロ、エルサレム、バグダッドに駐在。中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『中東の現場を歩く』(合同出版)、『イラク零年』(朝日新聞)、『イスラムを生きる人びと』(岩波書店)、共著『ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか』(集英社新書)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない』(集英社新書)。最新刊は『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』
ツイッターは @kawakami_yasu

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