コラム

イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?

2025年07月12日(土)15時20分

でも、エリザベスラインの最大の強みは定期運行と便利さ。これを維持するに当たって日本の組織以上にうまくやれそうなところは思い付かない。

とはいえ東京メトロは間違いなく、イギリス鉄道の労使関係の領域に影響力は発揮できなそうだ。イギリスの交通機関の労働者たちは、英経済を人質に取っているとたびたび非難される──人々の通勤能力を損なうようなストライキをちらつかせることで、賃上げを要求するからだ。


イギリスの電車運転士のように、週4日勤務で年収7万ポンド(約1380万円)を稼ぐ仕事は多くない。これが、運賃が非常に高くて設備投資に金が回らない理由の1つになっている。

交通労組は、あきれるほど有利な条件を要求し、効率性と近代化計画を阻害することで悪名高い。たとえば、管理職が休憩中のスタッフにハローと声をかけると、それは「中断」とみなされて、休憩時間がそこから再スタートになることだってあり得る。

五反田駅の出来事を思えば、もしかすると僕がイギリスに連れて行きたかったのは、日本人の鉄道スタッフだったのかもしれない。それは絶対に無理だけど。


乗務員目線で見る運転士・車掌の動作![東急編]


現役運転士が解説する運転士の動作![東急多摩川線・池上線ワンマン編]



駅係員・運転士の仕事

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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