コラム

築150年の家に住むと何が起こるのか...ビクトリア朝時代の住宅の窓をめぐる苦労

2025年06月26日(木)17時03分

僕の住んでいるところはたまたま「景観保全地区」だから、僕以前の所有者たち(そして僕や隣人)は、家の外観を元のビクトリア朝スタイルから変更することが許されない。つまり、以前の所有者の誰かがもし正面の窓を変えていたとしたら、それは全く同じタイプの窓にしなければならなかったはずだ。

家の裏手の窓で僕がいま苦しんでいる悪夢が、正面の窓で起こっていないのは、そのおかげだ。


家の裏側は通りから見えないため、裏手には同じ保全規則は適用されない。おそらく1990年代くらいに、当時の所有者が「頑丈」で「耐久性の高い」、しかも二重ガラスでアルミ製の窓を裏手に付けたようだ。「これなら暖房代も節約できますよ!」と、間違いなく言われたことだろう。

さて、それで節約できた金額がいかほどであれ、僕が今、これらの窓を交換しなければならないコストに比べれば微々たるものだろう。これらの窓がこの12年の間、血なまぐさい問題を抱えていたことは言うまでもない。

裏手の窓のうち2つで、二重ガラスに不具合が出てきた。ガラスとガラスの間に結露ができてしまい、そのせいで曇ってよく見えない(外が見えることが窓の大事な役割だと思うけど?)。窓の外側も内側も掃除できるのに、湿気が滴り落ちた曇りや跡が内側に残るせいで、汚く見える。

また、一年中、本当に窓が開けられない。実際には開けることができるのだが、各窓に小さなメモを貼って、来客が窓を開けないように警告している。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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