コラム

マイノリティーは一致団結して同じ意見を唱えよ?

2022年07月22日(金)20時05分

ブレグジット(イギリスのEU離脱)の投票の後には、まさにこの侮辱発言を何度か耳にした。中産階級のイギリス人がブレグジットに反対しているのに、その下の階級がブレグジットに賛成するなんて許せん、というのだ。

金持ちの特権階級から、おまえの選挙権など剥奪されるべきだと言われればどんなに腹立たしいかは、あえて指摘する必要はないだろう。僕が言いたいのは、僕のほんのちょっとした経験からも垣間見ることができるように、非白人が(イギリス社会全体では主流とされるような)政治観を持っているせいで、もはや同じ人種の「適正な」仲間ではないと言われることがいかに侮辱的か、ということだ。

ややこしい議論を持ち出して申し訳ないが、ぼくだって「これが今の世界で最大の問題だ」と思っているわけではない。深刻な問題はたくさんあり、それらは複雑で、人々はそれに対処しようと努めており、その解決法には当然、異なる意見が存在する。だが特にこの問題は、その論理が特に僕をいら立たせるのだ。つまり、非白人がその人種に当然とされる考えに沿わない個人的見解を持つことで、仲間うちから総攻撃される(左派に流行する言葉では「othering(異端者扱い)」)という事態だ。

もちろん、僕がこんな話を持ち出すのは、ジョンソン英首相辞任表明に伴う英保守党の党首選において、当初出馬の以降を示した候補者11人のうち6人が「マイノリティー出身」だったから。英首相を本気で目指すマイノリティーの挑戦者がこれだけ出たことは、ある種の進歩だ――と左派も考えていることだろうと思いがち。でも彼ら左派の論理に従えば、それも意味はない、なぜなら彼らは「真の」非白人とは言えないから、ということになるらしい。

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月7号(3月31日発売)は「日本企業に迫る サステナビリティ新基準」特集。国際基準の情報開示や多様な認証制度――本当の「持続可能性」が問われる時代へ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:中東情勢でアジア経済に試練 燃料高と通貨

ワールド

アングル:イラン指導部が国内締め付け強化、停戦後の

ワールド

マクロスコープ:政府内に石油製品の需要抑制論、問わ

ビジネス

中国BYD、2026年海外販売目標150万台超達成
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 9
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 10
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story