コラム

イギリスで「リワイルディング(再野生化)」が支持される理由

2021年09月07日(火)16時00分

ひょっとすると、ブレグジット(イギリスのEU離脱)が再野生化を後押しした可能性もある。EU加盟国はEUの共通農業政策(CAP)に従ってきた。この政策は集約的農家に助成金を支払うことになっているから、より多くの土地が積極的に農地に変えられ、原野や生物多様性が失われる原因になっている。EUを離脱したイギリス政府は今や、田園地方の景観の役割について、より広い視野で判断できる立場だ。イギリスは、農家にただ作物の増産を促すだけではなく、環境目標を設定してそれを守る農家に見返りを与えることだってできるだろう(CAPは固定制度ではないが、いかなるEUの組織も果てしない交渉と駆け引きで柔軟な変更すらできないというのがいつものパターンだ)。

「再野生化」は新しい言葉ではないし新しいアイデアでもない。このようなプロジェクトは何年も続けられてきたものの、その概念はやっと最近になって人々の関心を集めだした。再野生化は、姿を消した動物を復興しようという大規模計画だけにとどまらない。ゴルフコースに見えるくらい芝生を完成度高く整える代わりに、ちょっと伸ばしっぱなしにして昆虫やそれを捕る鳥におあつらえ向きな状態にする、といった簡単なことも含まれる。乱雑に見えるかもしれないが、より自然な感じになるよう、多少の雑草は見逃し、いくぶん「手つかずの場所」を残すといい、と言われている。

これは僕にとって好都合。以前だったら僕は「怠け者のガーデナー」だったが、今や「再野生化のパイオニア」を名乗ることができるのだから。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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