コラム

「EU残留」死守へ、なりふり構わぬ運動開始

2016年04月19日(火)18時30分

40年前のEEC国民投票との差

 EU「残留」派の運動は、「恐怖キャンペーン」とも言われている。EUを離脱したらどんなに危険で予期せぬ未来が待っているか、と脅してかかるのが最大の戦略だからだ。僕の受け取ったパンフレットにも、こう書いてある。「離脱に投票することは、10年、あるいはそれ以上の不確実性を意味するかもしれません」。態度を決めかねている大多数の有権者は安全な選択肢に流れる傾向があるから、これはたぶん、賢い戦略なのだろう。

 1975年、イギリスではEEC(欧州経済共同体)残留の是非を問う国民投票が行われた。67%が残留を支持したが、彼らの理解はあくまで「自由貿易圏」への残留を支持するということで、「欧州超国家」に参加するという意味ではなかった。

 40年にわたってイギリスが統合ヨーロッパから享受してきた(と言い聞かせられてきた)恩恵の数々、離脱した場合に訪れる恐ろしい結果、そして残留を猛アピールする体制派の誘導......。こうした必死のアピールにもかかわらず、今回の投票結果は40年前よりも僅差で決まることになるだろう。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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