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ウクライナ「2027年1月EU加盟説」は誰が、どんな意図で言い出したのか?
EU側としては、和平案が正式に決まったのなら、今までのように「どのみち加盟には時間がかかるのだから、その間に」という考えは通用しなくなる。
戦略の一つは、EU加盟の第二段階を設けることだ。これにより加盟は容易になるが、主要な恩恵を受けるにはさらに手続きが必要となるという方法だ。「クラブのメンバーにはなれるが、単一市場やユーロ通貨、シェンゲン圏へのアクセスを得るには、さらなる措置を踏まなければならない」と、関係者は述べたという。
しかしこれを実現させると、南方はバルカンの正式加盟国候補が黙っていないという問題が発生するに違いない。
ウクライナの「巨大キプロス」化?
「ウクライナはどうやって加盟準備を整えることができるのか。国境すら定まっていない」と言った欧州外交官がいたという。
実際、今までEUに加盟した国は、NATO加盟国か中立国であった。国境紛争があった国は、領有権の主張を諦めるなど、国境問題を解決してからEUやNATOに加盟しているのだ。
ここで引き合いに出されるのがキプロスである。なぜなら今までEU加盟をした28カ国中(英国含む)、キプロスが唯一の例外だったからだ。
地中海に浮かぶキプロス島は1974年以来、ギリシャ系の南のキプロス共和国と、トルコが支配する北キプロス・トルコ共和国(トルコのみ国家承認)に二分された状態が続いている。2004年にはキプロス共和国がEU加盟をすることを機に、EUも国連のコフィー・アナン事務総長も、島の再統一を目指して外交努力を続けたが、断念した。
こうしてキプロスは「国家が全領土を完全に支配していなくても、EUに加盟できるのか」という問いに「キプロスという先例がある」として語られるのだ。ジョージアやモルドバでも同様である。
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