コラム

ウクライナ「2027年1月EU加盟説」は誰が、どんな意図で言い出したのか?

2025年12月22日(月)16時45分

EU側としては、和平案が正式に決まったのなら、今までのように「どのみち加盟には時間がかかるのだから、その間に」という考えは通用しなくなる。

戦略の一つは、EU加盟の第二段階を設けることだ。これにより加盟は容易になるが、主要な恩恵を受けるにはさらに手続きが必要となるという方法だ。「クラブのメンバーにはなれるが、単一市場やユーロ通貨、シェンゲン圏へのアクセスを得るには、さらなる措置を踏まなければならない」と、関係者は述べたという。

しかしこれを実現させると、南方はバルカンの正式加盟国候補が黙っていないという問題が発生するに違いない。

ウクライナの「巨大キプロス」化?

「ウクライナはどうやって加盟準備を整えることができるのか。国境すら定まっていない」と言った欧州外交官がいたという。

実際、今までEUに加盟した国は、NATO加盟国か中立国であった。国境紛争があった国は、領有権の主張を諦めるなど、国境問題を解決してからEUやNATOに加盟しているのだ。

ここで引き合いに出されるのがキプロスである。なぜなら今までEU加盟をした28カ国中(英国含む)、キプロスが唯一の例外だったからだ。

地中海に浮かぶキプロス島は1974年以来、ギリシャ系の南のキプロス共和国と、トルコが支配する北キプロス・トルコ共和国(トルコのみ国家承認)に二分された状態が続いている。2004年にはキプロス共和国がEU加盟をすることを機に、EUも国連のコフィー・アナン事務総長も、島の再統一を目指して外交努力を続けたが、断念した。

こうしてキプロスは「国家が全領土を完全に支配していなくても、EUに加盟できるのか」という問いに「キプロスという先例がある」として語られるのだ。ジョージアやモルドバでも同様である。

プロフィール

今井佐緒里

フランス・パリ在住。個人ページは「欧州とEU そしてこの世界のものがたり」異文明の出会い、平等と自由、グローバル化と日本の国際化がテーマ。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使インタビュー記事も担当(〜18年)。ヤフーオーサー・個人・エキスパート(2017〜2025年3月)。編著『ニッポンの評判 世界17カ国レポート』新潮社、欧州の章編著『世界で広がる脱原発』宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省庁の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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