マドゥロ氏拘束に市場は冷静、地政学リスク過小評価との声も
写真はカラカス市内の道路。1月3日、ベネズエラのカラカスで撮影。REUTERS/Maxwell Briceno
Ankur Banerjee Rae Wee
[シンガポール 5日 ロイター] - 米国がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束した事態について、市場は意に介していないようにも見える。だが、一部の投資家は地政学リスクが過小評価されている可能性があると警鐘を鳴らしている。
5日の市場は冷静さを保った。安全資産に資金が流入して金価格が上昇した一方、アジア株は急伸し、原油価格は小幅安となった。
みずほ証券(シンガポール)でアジア(日本を除く)マクロ調査責任者を務めるビシュヌ・バラサン氏は、地政学リスクは輸入関税などよりもはるかに大きい影響を持つとの見方を示した。「問題は中南米全体の安定が危険にさらされているかどうかだ。もしそうなら話はまったく異なる。波及効果などあらゆる影響がはるかに大きくなり得る」と述べた。
マドゥロ氏拘束に対する市場の反応が比較的落ち着いていたのは、ベネズエラの原油生産量が世界全体に比べて小さい上、生産が回復するまでには何年もの投資が必要になるためだとアナリストや投資家は指摘する。
JPモルガン・アセット・マネジメントのアジア太平洋地域チーフ・マーケット・ストラテジスト、タイ・フイ氏は、「今回の出来事には、より広範な地政学的含意があるはずだ。しかし、金融市場はそうしたリスクを正確に織り込む上で、あまり効率的ではない」と語った。
<市場の今年最初の試練>
トランプ米大統領が政策目標達成のために武力行使も辞さない姿勢を示したことを受け、各国は国防費の増額を継続すると見込まれる。このため、目先では防衛関連セクターへの影響が表面化しやすい。
同時にアナリストからは、米国の政策を巡る不確実性の高まりがドルの重荷となり、安全資産としての地位が揺らぎかねないとの声も聞かれる。5日の外国為替市場でドルは小幅上昇した。
トランプ氏のベネズエラでの行動が中国の台湾政策にどのような影響を与えるのか、また米国がイランでの政権交代をより積極的に後押しする可能性があるのか、といった疑問も生じさせている。
台湾食品最大手の統一企業(ユニプレジデント)の株式投資助言部門のLi Fang-kuo会長は、中国が台湾を攻撃する可能性を投資家は心配していないと述べた。「確かに中国は台湾周辺で軍事演習を実施した。しかし、米国が(ベネズエラに対して)何カ月にもわたって見せてきたような緊張の高まりは確認できなかった」と語った。
サクソのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は、ベネズエラにおける米国の行動は、現時点では石油ショックというよりも、地政学上の重大事件に近いと述べた。より広範なサプライチェーンを脅かさない限り、投資家の関心は金利、企業収益、ポジションへと戻りやすいとの見方を示した。
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